まず結論:「練習の日帰り」→「近場で1泊」の順に。宿は電話で聞いてから決める
はじめての犬連れ旅行は、いきなり遠くへ行くより、次の順番で進めると失敗が減ります。
- 日帰りで練習する:車や電車に乗る時間、知らない場所での様子を見る
- 近場で1泊する:移動は短めに。宿で過ごす時間を長めにとる
- 宿は「犬のルール」を電話で聞いてから決める:大きさ・頭数・証明書・部屋での決まりは、宿ごとにかなり違う
犬ふぁんが集めた、楽天トラベルに載っている犬と泊まれる宿2,500軒のデータでは、チェックインの時刻は15時台が78.7%、チェックアウトは10時台が73.8%でした。はじめての旅行は、この「15時に入って、翌朝10時に出る」1泊を、犬がどう過ごすかを考えて組み立てるのがコツです。
この記事では、宿選びで聞くこと、当日の流れ、部屋での過ごし方、帰ってからのことまで、はじめての人向けに順番にまとめます。行き先のエリア選びや移動手段のくわしい比べ方は、別の記事にまとめています。
ステップ1:日帰りで「練習の旅」をする
はじめての1泊の前に、日帰りで同じような1日を練習しておくと、犬が何に困るかが先にわかります。
練習で見ておくこと
- 乗りものに乗っている時間:車なら、どれくらいで落ち着かなくなるか。電車なら、ケースの中で静かにしていられるか
- 知らない場所でのトイレ:家の外の、はじめての場所でおしっこやうんちができるか
- 知らない人・犬への反応:道の駅や公園で、すれ違う人や犬にどう反応するか
- 疲れ方:帰ってから、いつもよりどれくらい寝るか
練習で「車で1時間をこえると落ち着かない」とわかったら、1泊の行き先も1時間半くらいまでにしぼる、というように、旅の計画に反映させます。
電車で行くなら、ケースに入る練習
JR東日本では、犬を電車や新幹線に乗せるとき、全身が入るケースに入れ、顔を出さないことが条件です。ケースの大きさはタテ・ヨコ・高さの合計が120cm以内、ケースと犬を合わせた重さが10kg以内で、「手回り品きっぷ」(1個290円)が必要です(JR東日本、2026年9月現在の情報)。抱っこやリードだけ、スリングから顔が出ている状態では乗れません。
ケースに入って静かに過ごせるかは、はじめての旅行の成否を大きく左右します。家の中で、ケースに入って休む練習から始めましょう。ほかの鉄道会社やバスは決まりが違うので、乗る前にそれぞれ確かめてください。
ステップ2:宿のタイプと料金を知る
犬ふぁんのデータで見る、宿のタイプ別の料金
楽天トラベルに載っている犬と泊まれる宿のうち、最安料金がわかる宿を、宿のタイプ別に見ました。料金は1人あたりの最安料金で、時期やプランで変わります。
| 宿のタイプ | 宿の数(n) | 最安料金の真ん中 |
|---|---|---|
| ペンション | 960軒 | 9,000円 |
| ホテル | 681軒 | 9,000円 |
| 旅館 | 354軒 | 8,000円 |
真ん中の料金は、タイプによる差があまりありませんでした。宿全体(n=1,995)では、真ん中が8,900円、安いほうから4分の1が6,000円、高いほうから4分の1が14,300円です。
はじめての旅行では、料金よりも「犬との過ごし方」でタイプを選ぶと失敗が少なくなります。
- ペンション:犬連れ専用や、犬連れの客が多い宿もある。ほかの客も犬連れなら、少し吠えても気をつかいすぎずにすむ
- ホテル:犬と泊まれる部屋が一部だけ、ということもある。館内のどこまで犬と行けるかを確かめる
- 旅館:大浴場や食事処に犬が入れないことが多い。部屋で食事ができるかを確かめる
どのタイプも宿ごとにルールが違うので、ここに書いたのは一般的な傾向です。
犬の料金も足して考える
宿の注意事項に犬の料金を書いていた宿では、1頭1泊の真ん中が小型犬2,000円(n=28)でした。書いていない宿も多いので、人の宿泊料金とは別に、犬の料金がいくらかかるかを予約前に確かめましょう。料金の相場は別のページにまとめています。
ステップ3:予約の前に、宿に聞くこと
宿の予約ページに書かれている犬のルールは、ほんの一部です。犬ふぁんのデータでは、注意事項に「ワクチンの証明」を書いていた宿は2,500軒中5.1%、「頭数の制限」は4.0%だけでした。書いていなくても決まりがある宿は多いので、はじめての宿は電話かメールで聞いておくと安心です。
犬の条件
- 大きさ・体重・犬種の制限はあるか
- 何頭まで泊まれるか
- 狂犬病予防注射や混合ワクチンの証明書が必要か。紙か、スマホの写真でよいか
- ヒート(発情期)や、体調が悪いときの扱い
部屋と館内
- 部屋の中で、犬をケージに入れる必要があるか
- ベッドやソファに上げてよいか
- 犬を部屋に残して出かけてよいか(食事やお風呂のとき)
- 食事処やロビーに犬と行けるか。行けない場合、部屋で食事ができるか
- 足洗い場、ドッグラン、犬用の食器やトイレシートの用意はあるか
はじめてだと伝える
「はじめての犬連れ旅行です」と伝えると、館内のルールや、近くの散歩コース、トイレをさせてよい場所を教えてもらえることがあります。
犬と泊まれる宿は、犬ふぁんでエリアごとに探せます。
ステップ4:当日の流れを組み立てる
犬ふぁんのデータで見る、チェックインとチェックアウト
宿2,500軒のチェックインは15時台が78.7%、16時台が11.9%でした。チェックアウトの時刻は次のとおりです。
- 10時より前1.4%35軒
- 10時台73.8%1,846軒
- 11時台22.9%573軒
- 12時以降1.8%46軒
チェックアウトは10時台が7割以上、11時台が2割強です。11時チェックアウトの宿なら、朝の散歩とごはんをゆっくりすませてから出発できます。はじめての旅行で朝があわただしくなりそうなら、チェックアウトの遅い宿を選ぶのも1つの方法です。
駐車場が無料の宿は83.5%でした。車で行くなら、駐車場の場所と、車から部屋までの道のりも聞いておくと、荷物と犬を一度に運ぶときに慌てません。
はじめての1泊のタイムテーブル(例)
| 時間 | すること |
|---|---|
| 朝 | いつもどおり散歩とごはん。出発前にトイレをすませる |
| 昼前〜昼 | 移動。車なら1〜2時間ごとに休憩して水とトイレ |
| 14時ごろ | 宿の近くで散歩。においをかがせて、場所に慣らす |
| 15時台 | チェックイン。部屋に入ったら、まず落ち着く場所をつくる |
| 夕方 | 短めの散歩。夕食の前にトイレをすませる |
| 夜 | 早めに休む。犬のごはんはいつもの時間・いつもの量で |
| 翌朝 | 散歩とごはん。荷物をまとめ、部屋の毛を片づける |
| 10〜11時 | チェックアウト。寄り道は短めにして帰る |
はじめての旅行では、観光の予定を入れすぎないことが大切です。チェックインの前の時間は、観光より「宿の近くを歩いて慣れる時間」にあてると、部屋に入ってから落ち着きやすくなります。
車で行くなら、クレートを固定する
車はいちばん自由のきく移動手段ですが、犬を車内で自由にさせておくと、急ブレーキのときに危険です。クレートやドライブ用のボックスに入れ、シートベルトなどで動かないように固定しましょう。運転する人のひざの上や足元に犬がいると、運転のじゃまにもなります。休憩は1〜2時間おきを目安に、外でトイレと水の時間をとります。サービスエリアや道の駅では、車から降ろす前にリードをつけ、ドアを開けたとたんに飛び出さないよう気をつけてください。
はじめてだと忘れやすい持ち物
持ち物の一覧は別の記事にまとめているので、ここでは、はじめての旅行で「持っていけばよかった」となりやすいものだけ挙げます。
- 家で使っているクレートや毛布:宿の部屋で、犬が「自分の場所」と思えるもの
- コロコロ(粘着ローラー):チェックアウトの前に、部屋の毛を片づける
- 多めのトイレシートとビニール袋:はじめての部屋では失敗が増えやすい
- 予備のリードと首輪:こわれたり、なくしたりしたときに旅先では手に入りにくい
- ワクチンの証明書の写し:宿やドッグランで見せることがある
- 足ふき用のタオル:雨の日や、散歩のあと部屋に入る前に使う
ステップ5:部屋での過ごし方
入ってすぐの30分
- いつもの毛布やベッドを敷く:においのするものがあると落ち着きやすい
- クレートやケージの場所を決める:家で使っているクレートがあれば、それを持っていくのがいちばん
- トイレの場所を決めて、すぐに連れていく:はじめての部屋では、マーキングや失敗をしやすい。心配な子はマナーウェア(おむつ)を使う
- 水を出す:移動のあとは、のどがかわいている
夜の吠えや物音
知らない場所では、廊下の足音や、ほかの部屋の物音に吠えることがあります。
- 吠えたら、まず落ち着ける場所(クレート)に入れる
- 吠えが続くときは、短い時間外に連れ出して気分を変える
- 夜は早めに部屋の明かりを落として、いつもの寝る時間に合わせる
部屋に犬だけを残すとき
犬だけの留守番を禁止している宿や、ケージに入れることを条件にしている宿があります。宿のルールで認められていない場合は、留守番させずに、部屋で食事をとるなどの方法を選びましょう。
ステップ6:迷子とケガへの備え
迷子対策
旅先で犬が逃げると、土地勘がないぶん探すのが大変です。
- 鑑札と注射済票を首輪につける:厚生労働省は、狂犬病予防法にもとづき、鑑札と注射済票は必ず犬につけなければならないと案内しています
- 連絡先を書いた迷子札をつける
- マイクロチップの登録情報を確かめる:環境省によると、登録した住所や連絡先が変わったら、変更の届出が必要です
- 首輪・ハーネス・リードのゆるみや傷みを点検する:車の乗り降りや、宿の出入りのときに抜けやすい
旅行先の動物病院を調べておく
宿の近くの動物病院と、夜間や休日に診てもらえる病院を、出発前に調べて電話番号を控えておきましょう。
車に犬だけを残さない
JAFのテストでは、外の気温35度の晴れた日に窓を閉めて止めた車の中は、最高57度になりました。窓を3cm開けても45度まで上がっています。短い時間でも、車の中に犬だけを残さないでください。
帰ってからのこと
家に着いたら、体をふいたりブラッシングしたりして、ゆっくり休ませます。旅行のあとは、いつもより長く眠る子もいます。食欲や元気、うんちの様子でいつもと違うことが続くときは、動物病院に相談してください。
次の旅行のために、メモを残しておくのもおすすめです。
- 移動にかかった時間と、犬の様子
- 宿でよかったこと、困ったこと
- 持っていけばよかったもの、いらなかったもの
1回目の記録があると、2回目は行き先を少し遠くしたり、2泊にしたりと、犬に合わせて広げていけます。
よくある質問
Qはじめての犬連れ旅行は、何泊がいいですか?
まずは1泊がおすすめです。知らない部屋で眠れるか、移動で疲れすぎないかを見てから、次の旅行で日数を増やしましょう。
Q子犬でも旅行に行けますか?
法律で決まった年齢はありませんが、ワクチンの接種が終わっていて、宿の条件を満たしていることが前提です。時期はかかりつけの動物病院に相談してから決めましょう。宿によっては、年齢や月齢の条件があることもあります。
Q宿にワクチンの証明書を持っていく必要はありますか?
求める宿と、求めない宿があります。予約ページに書いていなくても必要な場合があるので、予約のときに確かめ、紙かスマホの写真で持っていくと安心です。
Q犬を部屋に残して温泉に行ってもいいですか?
宿のルールによります。犬だけの留守番を禁止している宿や、ケージに入れることを条件にしている宿があります。予約のときに確かめてください。
Q旅行中のごはんは、いつもと同じでいいですか?
いつも食べているフードを持っていくのが基本です。旅行先で急に食べ物を変えると、おなかの調子をくずすことがあります。
参考にした情報
- JR東日本「犬を電車に乗せるルール」(2026年9月現在の情報) https://media.jreast.co.jp/articles/408
- JAF ユーザーテスト「真夏の車内温度」 https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/summer
- 厚生労働省「狂犬病予防法に基づく犬の登録・予防注射について」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip_qa.html
- 犬ふぁん 犬と泊まれる宿の集計(楽天トラベルに載っている宿2,500軒の公開情報、2026年10月10日時点)
(いずれも2026年10月に確認)
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