まず結論:全身が入るケースに入れて、1個290円
JRの電車や新幹線に犬を連れて乗るときは、犬を「手回り品(てまわりひん)」という有料の荷物として持ち込みます。JR東海・JR九州・JR東日本の案内に書かれている条件は、どの会社もほぼ同じで、ポイントは次の3つです。
この数字をもとに、近くで探す
- 犬の全身が入る動物用のケースに入れる(顔を出すのはだめ)
- ケースのタテ・ヨコ・高さの合計が120cm以内
- ケースと犬を合わせた重さが10kg以内
この3つを満たしたうえで、乗る駅の改札口などで係員にケースを見せ、「普通手回り品きっぷ」を買います。料金はケース1個につき290円です。
つまり、ケースこみで10kgをこえる犬は、JRの車内には持ち込めません。また、抱っこ・スリング・ふつうのペットカートでは乗れません。この記事では、公式の案内をもとに、ケースの選び方、料金の数え方、きっぷの買い方、乗っている間のマナーまで順番にまとめます。
持ち込める犬と、ケースの条件
JRの案内に書かれていること
JR東海の「手回り品」の案内では、有料で持ち込めるのは「小犬、猫、鳩またはこれらに類する小動物(猛獣やへびの類を除く)」で、次の2つを満たすものとされています。
- タテ・ヨコ・高さの合計が120センチ以内の動物専用のケースに入れたもの
- ケースと動物を合わせた重さが10キロ以内のもの
JR九州の案内も同じ書き方です。JR東日本が運営する「JREメディア」の記事(2026年9月現在の情報)でも、全身が入るペット用ケース・リュックなどに入れて顔を出さないこと、3辺の合計120cm以内、ケースと動物で10kg以内、1個290円と案内しています。
乗れる形・乗れない形
JR東海の案内には、どんな形なら持ち込めるかが、細かく書かれています。表にまとめました。
| 犬の連れ方 | JRの車内に持ち込めるか |
|---|---|
| 全身が入る動物用ケース・キャリー(条件内) | 持ち込める(有料) |
| ケースから顔を出している | 持ち込めない |
| 抱っこしたまま・リードだけ | 持ち込めない |
| ふつうのバッグに入れただけ | 持ち込めない |
| スリング(布で形が決まらないもの) | 全身が入っていても持ち込めない |
| ペットカート・バギー(車輪や取っ手こみで条件内) | 持ち込める(有料) |
| 一般的なペットカート・バギー | 全体で条件をこえるため持ち込めない |
| ケースと車輪・取っ手が分かれるカート | ケースが条件内、残りが無料の手回り品の範囲内なら持ち込める |
ペットカートについて、JR東海は「一般的なペットカート・ペットバギーの場合、全体でペットケースの制限を超えるため持込みはできません」と書いています。ケース部分を外せるタイプなら、ケースを有料の手回り品、車輪の台を無料の荷物として持ち込める場合があります。ただし、突起があるなど、ほかのお客さんに危ないと判断されたときは断られます。
「長さ」にも決まりがある会社も
JRの案内は「3辺の合計120cm以内」が中心ですが、JR西日本が公開している旅客営業規則(手回り品の章)や、名古屋鉄道の案内には「長さ70センチメートル以内」という文言もあります。細長いケースやカートを使うときは、1辺の長さも駅で確かめておくと安心です。
ケースこみ10kgと、3辺120cmの計算
条件の数字は、ケースを買う前と、出かける前の2回確かめるのがおすすめです。
重さ:犬の体重+ケースの重さ
10kgは「犬だけ」ではなく「ケースと犬を合わせた重さ」です。犬の体重から、使えるケースの重さを逆算すると、次のようになります。
| 犬の体重 | ケースの重さの上限 |
|---|---|
| 4kg | 6kgまで |
| 6kg | 4kgまで |
| 8kg | 2kgまで |
| 9kg | 1kgまで |
しっかりしたハードケースや、車輪つきのキャリーは、ケースだけで数kgあることがあります。体重が8kg前後の犬は、ケース選びでぎりぎりになりやすいので、ケースに犬を入れた状態で体重計に乗って量るのがいちばん確実です(飼い主が抱えて量り、飼い主の体重を引く方法でもかまいません)。
中にタオルやペットシーツ、おもちゃを入れると、そのぶんも重さに入ります。旅行の前の日に、当日と同じ中身で量っておきましょう。
大きさ:タテ+ヨコ+高さ
3辺の合計は、ケースのいちばん外側を測ります。持ち手やポケットが出っぱっている場合、その分も含めて考えておくと、駅で迷いません。
| ケースの大きさ(例) | 3辺の合計 | 120cm以内か |
|---|---|---|
| 45×30×30cm | 105cm | 以内 |
| 50×35×35cm | 120cm | ちょうど |
| 55×35×35cm | 125cm | こえる |
ケースは「中で犬が向きを変えられる」「顔が出ない」「ファスナーが閉まる」「底がしっかりしている」ものを選びましょう。キャリーやケースは、お店で実物を見て、犬を入れてみてから選ぶと失敗が少なくなります。
料金のしくみ:1回の乗車ごとに290円
「1回の乗車」と途中下車
JR西日本の旅客営業規則には、普通手回り品料金は「旅客の1回の乗車ごとに、1個について290円」とあり、普通手回り品きっぷは「途中下車をしたときは、その効力を失う」と書かれています。つまり、改札を出たら、次に乗るときにまた買う、という考え方です。
よくある場面の料金
| 場面 | 料金の考え方(ケース1個) |
|---|---|
| 片道を1回乗る | 290円 |
| 行きと帰りに乗る(往復) | 290円×2回=580円 |
| 途中の駅で改札を出て、また乗る | 出たところで効力がなくなり、次の乗車で290円 |
| ケースを2個持ち込む | 1回の乗車で290円×2個=580円 |
| JRから伊豆急行線へそのまま乗り入れる | JRの駅で手回り品きっぷを買う(伊豆急行の案内) |
料金は「犬1頭につき」ではなく「ケース1個につき」です。ただし、2頭を1つのケースに入れる場合でも、合計10kg以内・120cm以内の条件は同じです。2頭が中で落ち着いていられるか、ほかのお客さんの迷惑にならないかも含めて考えましょう。
新幹線でも、犬の扱いは在来線と同じ有料の手回り品で、290円です。特急券や指定席を取っても、犬のための席はありません。
きっぷの買い方と、駅での流れ
乗る前の流れ
- 出発の時刻より早めに、乗る駅の改札口(係員がいる窓口)へ行く
- 犬が入ったケースを係員に見せる
- 持ち込める状態か確かめてもらい、普通手回り品きっぷを買う
- きっぷは、なくさないように持っておく(ケースにつけるよう案内されることもあります)
JRの案内は「乗車する駅の改札口などで、ケースを見せて買う」という形です。駅に着いてからケースを見せる手順があるので、乗りかえの時間がぎりぎりの計画は避けましょう。支払い方法は駅によって違うことがあるので、念のため小銭も持っておくと安心です。
帰りのきっぷも忘れずに
往復するときは、帰りも乗る駅で同じように買います。旅先の駅が小さい駅だと、係員がいる時間が限られていることもあります。帰りの駅の窓口の時間も、出かける前に見ておくと安心です。
車内とホームでのマナー
JR各社の案内では、小動物を持ち込む場合は「駅や車内ではケースから出さないように」とされています。ケースを開けてなでたり、顔だけ出したりするのも控えましょう。
- ケースは足元かひざの上に置く(座席に置かない)
- 乗る前に散歩とトイレをすませておく
- ケースの中にペットシーツを敷き、においもれに備える
- 鳴きやすい子は、混む時間帯を避ける
- 食べ物のにおいで落ち着かなくなる子は、車内での飲食を控える
JR東海の案内には「他のお客さまにご迷惑をおかけするおそれがある場合や列車が大変混雑している場合などは、持込みをお断りする場合があります」とも書かれています。通勤ラッシュの時間や、連休の混む列車は避けるのが安心です。
新幹線・特急で長く乗るとき
- 乗り降りしやすい通路側の席や、車両のいちばん後ろの席を選ぶ
- 足元にケースが入る大きさか、座席の前の広さを考えておく
- 乗る前に水を少し飲ませ、トイレをすませる
- 車内でケースから出せないので、2時間をこえるような移動では、途中で休める計画を考える
ケースに長く入っていることに慣れていない犬は、家で少しずつ練習しておくと当日が楽になります。いきなり長い移動をせず、まずは近くの駅まで1区間乗ってみるのもよい練習です。
犬ふぁんのデータで見る:電車で行く犬連れ旅の例(静岡県伊東市)
電車で犬と旅行するとき、意外に手間がかかるのが「JRから私鉄への乗りかえ」です。犬ふぁんの宿のデータで、例を見てみましょう。
犬ふぁんで集計した静岡県伊東市の犬と泊まれる宿83軒(楽天トラベルに載っている宿の公開情報。2026年10月10日時点)を、宿の最寄り駅ごとに数えると、次のようになりました。
| 最寄り駅 | 宿の数(n=83) |
|---|---|
| 伊豆高原 | 53軒 |
| 城ヶ崎海岸 | 10軒 |
| 伊東 | 9軒 |
| 富戸 | 4軒 |
| 宇佐美 | 4軒 |
| 伊豆大川・川奈・南伊東 | 各1軒 |
JR伊東線の駅は宇佐美と伊東で、伊東駅から先は伊豆急行線です。伊豆高原・城ヶ崎海岸・富戸などは伊豆急行線の駅なので、83軒のうち70軒は、最寄り駅が伊豆急行線の駅ということになります。
伊豆急行の案内では、犬などの小動物は3辺の最大の和が120cm以内のケース(頭や手足など一部がケースの外に出るものは不可)、ケースと動物を合わせて10kg以内、手回り品料金は1個290円で、JRと同じ条件です。そして「JR線から伊豆急行線へ乗り入れる場合(例:横浜→伊豆高原)は、JRの駅にて『普通手回り品きっぷ』をお求めください」と書かれています。
このように、JRとつながっている私鉄でも、きっぷをどこで買うかは会社の案内を見ないとわかりません。旅先が私鉄沿線のときは、宿を決めた段階で「最寄り駅は何線か」「乗りかえはどこか」を確かめておきましょう。
伊東市の犬と泊まれる宿は、駅や設備から探せます。
ほかの地域で、駅から近い施設を探すときは次のページが便利です。
i-n-u.fun/ekiケースに入らない犬・10kgをこえる犬は
ケースこみで10kgをこえる犬や、3辺120cmのケースに入らない犬は、JRの車内に持ち込めません。中型犬・大型犬と遠くへ出かけるときは、自分の車やレンタカーなど、車での移動を考えることになります。レンタカーやタクシーで犬を乗せられるかは、会社によって決まりが違うので、予約の前に確かめてください。
なお、盲導犬・介助犬・聴導犬は「身体障害者補助犬」として扱いが別です。JR東海の案内では、使用者本人が連れている場合(法に定める表示をしている場合に限る)は、無料の手回り品として持ち込めるとされています。
JR以外の電車・バス
私鉄・地下鉄・バスは、それぞれの会社が別にルールを決めています。名古屋鉄道や伊豆急行のようにJRと同じ290円の会社もあれば、料金や大きさの決まりが違う会社もあります。乗る路線の会社の案内で、次の3つを確かめましょう。
- ケースの大きさと重さの上限
- 料金がかかるか、いくらか
- 他社線から乗り入れるとき、どこで手続きをするか
よくある質問
Q小型犬を抱っこしたまま乗ってもいいですか?
JRでは乗れません。JR東海の案内では、抱いたままやふつうのバッグに入れた状態では利用できず、全身が入るケースに入れる必要があるとされています。
Qスリングに全身が入っていればいいですか?
JR東海の案内では、布で形が決まらないもの(ドッグスリングなど)は、全身が入っていても利用できないとされています。
Qペットカートのまま乗れますか?
車輪や取っ手を含めた全体が「3辺の合計120cm以内・ケースと犬で10kg以内」のときだけ有料で持ち込めます。一般的なカートは全体で条件をこえるため、そのままでは持ち込めません。ケースと台が分かれるタイプなら、分けた状態で持ち込める場合があります。
Q往復で乗ると、料金はいくらですか?
手回り品料金は1回の乗車ごとに1個290円なので、行きと帰りで580円です。途中で改札を出ると、そのきっぷは使えなくなります。
Q手回り品きっぷはネットで買えますか?
JRの案内では、乗る駅の改札口などでケースを見せて買う方法になっています。時間に余裕をもって駅へ行きましょう。
参考にした情報
- JR東海「手回り品」 https://railway.jr-central.co.jp/ticket-rule/rule47.html
- JR九州「手回り品」 https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/rule/07/
- JR東日本 JREメディア「新幹線や電車に犬や猫を持ち込むには『手回り品きっぷ』が必要!」(2026年9月現在の情報) https://media.jreast.co.jp/articles/408
- JR西日本 旅客営業規則 第10章 手回り品(第309条 1回の乗車ごとの料金、第311条 途中下車での効力) https://www.jr-odekake.net/railroad/ticket/guide/assets/pdf/stipulation/2020/covenant2-10.pdf
- 伊豆急行「よくあるご質問」(手回り品・JR線から乗り入れるとき) https://www.izukyu.co.jp/faq/
- 名古屋鉄道「手回り品」 https://www.meitetsu.co.jp/train/ticket_fare/luggage/
- 犬ふぁん 施設データの集計(静岡県伊東市の犬と泊まれる宿。楽天トラベルに載っている宿83軒の公開情報。2026年10月10日時点)
(いずれも2026年10月に確認)
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