まず結論:夏は「風と日かげ」、冬は「毛布と囲い」。それでも無理なら早めに移る
停電で冷房や暖房が止まると、犬は自分で涼しい場所や暖かい場所へ行けません。部屋の温度を守れるのは飼い主だけです。
- まず確かめる:近所も消えているか、電力会社の停電情報で復旧の見通しはどうか。電気製品のプラグは抜いておく
- 夏の停電:日差しを遮り、風を通し、家の中でいちばん涼しい場所に犬を移す。水はいつでも飲めるように。保冷剤はタオルで包み、かじらせない
- 冬の停電:ケージや寝床を毛布で囲い、床からの冷えを防ぐ。湯たんぽは直接ふれないように。発電機は家の中で絶対に使わない
- 移る目安:部屋の温度を保てない、復旧の見通しが立たない、犬の様子が気になる。そのどれかなら、停電していない場所(親戚・知人の家、ペットホテル、犬と泊まれる宿)へ早めに移る
- 犬の様子がいつもとちがうときは:この記事で判断せず、すぐ動物病院に電話する。暑い時期に、ぐったりしている・様子がおかしいときは、熱中症のこともあるので迷わず相談を
犬の様子が気になるなら、記事を読み進めるより先に、下のボタンから近くでいま開いている動物病院を探してください。停電や災害で休んでいる病院もあるので、向かう前に必ず電話で確かめます。
いま困っているなら、近くで探す
現在地から近い順に出ます。位置情報が使えないときは、エリアから選べる一覧が開きます。行く前に電話で確かめてください。
電気が消えたら、まず3つ確かめる
1. 家だけか、近所もか
窓の外を見て、近所の家や街灯も消えているかを確かめます。
- 近所も消えている:電力会社の配電線の停電です。中部電力パワーグリッドは、家も近所も消えているときはそのまましばらく待つよう案内しています
- 自分の家だけ消えている:分電盤のブレーカーが落ちていないか見ます。関西電力送配電のページなどで、確かめる順番が案内されています
2. どのくらい続きそうか
電力会社(送配電会社)の停電情報のページで、停電している地域と、復旧の見通しを確かめます。台風や大雪のあとは、復旧まで時間がかかることがあります。
数時間で戻りそうか、半日以上かかりそうかで、このあとの動き方が変わります。スマホの電池を節約しながら、ときどき見直しましょう。
3. 電気製品のプラグを抜く
消防庁は、停電中は電気製品のスイッチを切り、プラグをコンセントから抜くよう呼びかけています。電気が戻ったときの火事(通電火災)を防ぐためです。家を離れるときは、ブレーカーも落とします。
ペット用のヒーターやホットカーペット、熱帯魚の水槽のヒーターなども忘れずに。
夏の停電:部屋を涼しく保つ
冷房が止まると、部屋の温度は少しずつ上がっていきます。犬は人より床に近いところで過ごし、汗で体を冷やすのも得意ではありません。人が「まだ平気」と思っても、早めに手を打ちます。
すぐにできること
- 日差しを遮る:カーテンやすだれ、雨戸を閉め、日が入る窓をふさぐ
- 風を通す:日の当たらない側の窓を開け、反対側の窓も少し開けて風の通り道をつくる(防犯と、犬の飛び出しに注意)
- いちばん涼しい場所に移す:北側の部屋、1階、タイルや板の間など。ケージごと移すか、その部屋で過ごさせる
- 水を何か所かに置く:いつでも飲めるように。器がひっくり返らないよう重めのものを
- 温度計を犬のいる高さに置く:人の顔の高さより、床に近いところの温度を見る
体を冷やす道具
- 保冷剤・凍らせたペットボトル:タオルで包んで、寝床の近くに置く。犬が自分で近づいたり離れたりできるように
- ぬらしたタオル:体にかけたり、床に敷いたりする
- 電池で動く扇風機:犬に直接当てるより、部屋の空気を動かすように使う
暑さ対策の道具の選び方は、犬の暑さ対策グッズの選び方にまとめています。
車のエアコンを使うときは
車のエアコンで涼む方法もありますが、人が必ず一緒に乗っていることが条件です。JAFのテストでは、夏の日なたに止めた車は、エアコンを止めて5分で運転席が38℃、90分後には53℃になりました。JAFは、天候や気温、エアコンの使用にかかわらず、ペットを車内に残して離れないよう呼びかけています。
日かげに止め、燃料の残りに気をつけて使いましょう。
散歩はいつも以上に時間を選ぶ
停電の日は、家に戻っても冷房で体を冷やせません。散歩は朝早くか、日が沈んで地面が冷めてからにし、短めにします。時間の決め方は犬の夏の散歩は何時がいい?を参考にしてください。
環境省と気象庁が「熱中症警戒アラート」を出している日は、人も涼しい場所で過ごすよう呼びかけられている日です。停電が長引きそうなら、次の章の「移る目安」を早めに考えましょう。
熱中症が心配なとき
ぐったりしている、呼びかけへの反応がいつもとちがうなど、少しでも気になる様子があれば、この記事で様子を見ようとせず、すぐ動物病院に電話してください。電話で、向かうまでにすることを聞きます。
冬の停電:体を冷やさない
暖房が止まると、特に夜から朝にかけて部屋が冷えこみます。子犬やシニア犬、毛の短い子は、とくに気をつけてあげましょう。
すぐにできること
- 寝床を囲う:ケージやクレートを毛布でおおい、すき間風が入らないようにする(1面はあけて空気を通す)
- 床からの冷えを防ぐ:段ボールや毛布、マットを何枚か重ねて、床から離す
- 家族で1つの部屋に集まる:人の体温でも部屋は少し暖まる。窓の少ない部屋を選ぶ
- 服を着せる:ふだん服を着ている子は、着せておく。慣れていない子に無理に着せる必要はない
- カーテンを閉める:夜は窓から熱が逃げやすい
服の選び方は犬の服は必要?にあります。
湯たんぽ・カイロを使うときは
- タオルや専用のカバーで包み、犬の体に直接当てない
- 寝床の一部にだけ置き、犬が暑くなったら離れられるようにする
- かじる子には使わない。使い捨てカイロは、かじって中身を出さないよう犬の届かない場所に
火を使う道具・発電機の注意
- カセットガスのストーブを使うときは、説明書を守り、こまめに換気する
- ろうそくより、懐中電灯やランタンを使う。犬がしっぽで倒したり、かじったりすることがある
- 雪の日に車で暖をとるときは、マフラー(排気口)のまわりの雪をこまめにどける。JAFのテストでは、車が雪に埋まった状態でエンジンをかけ続けると、16分で一酸化炭素の濃度が危ない値に達しました。マフラーまわりの雪をどけた車では、ほとんど検出されませんでした
避難の目安:家で過ごすか、移るか
停電が長引きそうなときは、「家でがんばる」か「停電していない場所へ移る」かを決めます。次のどれかにあてはまるなら、移ることを考えましょう。
| こんなとき | 考えること |
|---|---|
| 日差しを遮っても、部屋の温度が上がり続ける(夏) | 暑さのピークが来る前に、涼しい場所へ移る |
| 毛布で囲っても、部屋が冷え続ける(冬) | 夜になる前に、暖かい場所へ移る |
| 電力会社の情報で、復旧の見通しが立たない | 明るいうちに移る。夜の移動は危ない |
| 断水もしていて、水が足りなくなりそう | 水のある場所へ移る |
| 子犬・シニア犬・持病のある子がいる | ほかの子より早めに動く。持病のことはかかりつけに相談 |
| 犬の様子がいつもとちがう | 移るより先に、動物病院に電話する |
どこへ移るか
| 移る先 | 気をつけること |
|---|---|
| 停電していない地域の親戚・知人の家 | いちばん落ち着きやすい。ふだんから頼めるか話しておく |
| ペットホテル・動物病院の預かり | 停電や災害で休んでいることも。電話で受け入れを確かめる |
| 犬と泊まれる宿 | 停電していない地域の宿を、電話で空きを確かめて予約 |
| ペットを受け入れる避難所 | 犬は人と別の場所で、ケージで過ごす形が多い。市区町村のページで確かめる |
| 指定暑熱避難施設(クーリングシェルター) | 人の熱中症を防ぐための施設。犬を連れて入れるかは施設ごとに違うので、行く前に確かめる |
避難所で犬がどう過ごすかは、犬の同行避難とは?にまとめています。
移動するときは、フード・水・トイレシート・薬、ケージやキャリー、リードと迷子札を持っていきます。夏の移動は、車の中をしっかり冷やしてから乗せましょう。
電気が戻ったら
消防庁は、電気が戻ったときに火事が起きることがあるとして、次のことを呼びかけています。
- 電気製品が水にぬれたり壊れたりしていないか、コードが傷んでいないか、近くに燃えやすい物がないかを確かめてから使う
- 見た目に問題がなくても、時間がたってから火が出ることがある。煙などに気づいたら、すぐブレーカーを落として消防に連絡する
犬が電気コードをかじっていないかも、あわせて見ておきましょう。部屋の温度がいつもどおりに戻るまで、犬の様子を見守ります。
日ごろの備え
停電は、台風や大雪、地震のときだけでなく、ふだんの日にも起きます。夏と冬が来る前に、次のものをそろえておくと安心です。
そろえておくもの
| 季節 | そろえておくもの |
|---|---|
| 一年中 | 懐中電灯・ランタン、電池、モバイルバッテリー、温度計、ケージ・クレート |
| 夏 | 保冷剤(冷凍庫に何個か)、電池で動く扇風機、すだれ・遮光カーテン |
| 冬 | 毛布、湯たんぽ、床に敷くマット、犬の服(着慣れている子) |
ポータブル電源を用意する家庭もあります。使うときは説明書を守り、熱のこもる場所に置かないようにしましょう。
決めておくこと
- 移る先を2〜3か所:停電していない地域の親戚・知人、ふだん使っているペットホテルや動物病院
- 夜や休日に頼れる動物病院:探し方は夜に犬を診てもらえる動物病院の探し方にあります
- 停電情報の受け取り方:中部電力パワーグリッドの「停電お知らせメール」のように、登録した地域の停電を知らせてくれるサービスがある電力会社もあります
災害のときの備え全体(持ち出し袋、避難所のルール、預け先)は、犬の同行避難とは?にまとめています。
台風の予報が出たときの備えと、当日の散歩・トイレは、こちらにまとめています。
よくある質問
Q夏に停電したら、犬のために何をすればいいですか?
日差しを遮り、風を通し、家の中でいちばん涼しい場所に犬を移します。水をいつでも飲めるようにし、タオルで包んだ保冷剤を寝床の近くに置きます。部屋の温度が下がらないときは、停電していない場所へ早めに移りましょう。
Q停電中、犬を車に乗せてエアコンで冷やしてもいいですか?
人が必ず一緒に乗っているときだけにしてください。JAFのテストでは、夏の日なたでエアコンを止めると5分で車内が38℃になりました。犬だけを車に残すのは絶対にやめましょう。
Q冬の停電で、犬を暖かくするには?
ケージや寝床を毛布で囲い、床に段ボールや毛布を重ねて冷えを防ぎます。湯たんぽはタオルで包み、犬の体に直接当てないようにします。発電機は家の中では絶対に使わないでください。
Q停電中に犬の様子がおかしいときは?
この記事で判断せず、すぐに動物病院へ電話してください。停電や災害で休んでいる病院もあるので、向かう前に電話で確かめます。
Q停電のとき、犬と避難所に行けますか?
犬を受け入れるかどうか、どこで過ごすかは、自治体や避難所ごとに違います。人とは別の場所でケージに入って過ごす形が多いので、市区町村のページで確かめてください。
参考にした情報
- 中部電力パワーグリッド「停電時の対処法」
- 関西電力送配電「電気が突然消えたとき」
- 東京電力パワーグリッド「停電情報」
- 消防庁「通電火災にご注意ください」(令和2年9月3日)
- NITE「停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意!」
- JAF「子どもやペットを車内に残したキー閉じこみ、JAFへの救援要請は昨年8月の1カ月で194件!」
- JAF「クルマが雪で埋まった場合、CO中毒に注意(JAFユーザーテスト)」
- 環境省「熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラート」(熱中症予防情報サイト)
(いずれも2026年10月に確認)
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