まず結論:台風は「来る日がわかる災害」。前日までに、散歩・買い物・行き先を決めておく
台風は、地震とちがって数日前から近づいてくるのがわかります。犬のための備えも、前日までに終わらせておくのが基本です。
- 3〜2日前:気象庁の台風情報で進路を見て、ハザードマップで家のまわりの危険(川・がけ・浸水)を確かめる。避難するなら、犬とどこへ行くか決める
- 前日まで:フード・水・トイレシートを買い足す(環境省は、ペットのフードと水を少なくとも5日分、できれば7日分以上としています)。スマホとモバイルバッテリーを充電し、浴槽に水をためる
- 当日の散歩:風が強くなる前に、短くすませる。風が強いあいだは外に出ない。家の中でトイレができるよう、前日から準備しておく
- 避難するなら早めに:避難情報は「警戒レベル4までに必ず避難」。犬連れは時間がかかるので、もっと早く動けるようにしておく
- 通り過ぎたあと:散歩の前に道を確かめる。落ちた枝やガラス、垂れ下がった電線に近づけない
今すぐできることは、気象庁の台風情報で、自分の地域にいつごろ近づくかを見ることと、犬のフード・水・トイレシートの残りを数えることです。
避難所に犬を連れて行くときのルールや、持ち出し袋の中身は、犬の同行避難とは?にくわしくまとめています。この記事では、台風の前日までと当日にすることにしぼります。
3〜2日前:情報を見て、「家にいる」か「離れる」かを決める
台風情報の見方
気象庁の台風情報では、台風の進路を5日先まで予報しています。あわせて見たいのが「暴風域に入る確率」です。地域ごとに、何日の何時ごろに暴風域に入りそうかが、確率のグラフで出ます。
気象庁は、確率が低いときでも、確率がどう変わっていくか、いちばん高くなる時間帯に注目し、常に最新の予報を見るよう呼びかけています。進路は少しずつ変わるので、朝と夜など、1日に何回か見ておきます。
暴風域に入りそうな時間がわかれば、「散歩をいつにするか」「いつまでに買い物をすませるか」「避難するなら何時に出るか」を逆算できます。
家の危険を確かめる
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」や、市区町村が配るハザードマップで、家のまわりを確かめます。
- 川があふれたとき、家が浸水する場所か
- がけ崩れ(土砂災害)のおそれがある場所か
- 避難所までの道に、川沿いや低い道がないか
浸水や土砂災害のおそれがある場所なら、台風が来る前に家を離れることを考えます。安全な場所なら、家にとどまる(在宅避難)準備をします。
犬とどこで過ごすかを決める
| 家の状況 | 犬との過ごし方 |
|---|---|
| ハザードマップで危険がない、家が丈夫 | 家にとどまる。窓から離れた部屋で過ごす |
| 浸水・土砂災害のおそれがある | 台風が来る前に、親戚・知人の家、犬と泊まれる宿、ペットを受け入れる避難所へ |
| 犬がケージで落ち着けない、大型犬 | 避難所は合わないことが多い。親戚・知人の家や宿を先に考える |
| 避難所に行く予定 | その避難所が犬を受け入れるか、市区町村のページで先に確かめる |
避難所で犬がどう過ごすかは、自治体や避難所ごとに違います。人とは別の場所で、ケージに入って過ごす形が多いので、犬の同行避難とは?で確かめておいてください。
台風が来る前に遠くの安全な地域へ移るなら、犬と泊まれる宿も候補になります。ふだんから犬を預けているペットホテルがあれば、台風の前後に預けられるか聞いてみるのも一つの方法です。ただし、台風の日は営業を休んだり、送り迎えができなくなったりすることもあるので、早めに電話で確かめましょう。
前日までに:買い物・充電・水の準備
買い足すもの
台風の前日や当日は、お店が早く閉まったり、品物が少なくなったりします。2〜3日前のうちに買いそろえておきます。
| 買い足すもの | 目安 |
|---|---|
| ふだんのフード | 環境省の目安は少なくとも5日分、できれば7日分以上 |
| 犬の飲み水 | フードと同じく5日分以上を目安に |
| 療法食・薬 | 飲んでいる子は、残りの日数を確かめる。手に入りにくいので最優先 |
| トイレシート | 家の中でトイレをする日が続くので多めに |
| うんち袋・消臭袋・ウェットティッシュ | 断水すると、水で洗えなくなる |
人の分の備蓄も忘れずに。首相官邸のページでは、飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分としています。薬や療法食のことで気になることがあれば、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。
充電と明かり
停電に備えて、次のものを準備します。
- スマホとモバイルバッテリーをいっぱいまで充電する
- 懐中電灯と電池(気象庁は懐中電灯、携帯ラジオ、電池などを非常用品に挙げています)
- 夏なら、電池で動く小さな扇風機や保冷剤。冬なら、毛布や湯たんぽ
停電で冷暖房が止まったときの、夏と冬それぞれの過ごし方は、犬の暑さ対策グッズの選び方や犬の服は必要?も参考にしてください。
水をためておく
気象庁は、断水に備えて飲み水を確保するほか、浴槽に水を張るなどして生活用水を確保するよう案内しています。浴槽の水は、トイレを流したり、犬の足やトイレまわりをふいたりするのに使えます。
家のまわりと、家の中
- 鉢植えや物干しざおなど、風で飛びそうな物を家の中にしまう(気象庁の案内)
- 窓や雨戸にしっかりカギをかける
- 犬のケージは、窓から離れた場所に移す。ガラスが割れたときに備えて、窓ぎわで寝かせない
- 犬の首輪に迷子札がついているか、鑑札がついているか確かめる。強い風の音におどろいて逃げ出すことがあるため
前日〜当日:散歩とトイレ
散歩は「風が強くなる前に、短く」
気象庁の「風の強さと吹き方」の表では、平均風速が15メートル以上の「強い風」で人は風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出ます。20メートル以上の「非常に強い風」では、何かにつかまっていないと立っていられず、飛んできた物でけがをするおそれがあるとしています。
小さな犬や、人より体の軽い子はなおさらです。散歩はこう組み立てます。
- 前日:ふだんより少し長めに歩き、体を動かしておく
- 当日の朝:風雨が強くなる前に、トイレ中心の短い散歩に
- 風が強いあいだ:外に出ない。玄関先でも、飛んでくる物に注意
- 台風が過ぎた直後:道の安全を確かめてから
暴風域に入る時間が夜なら、当日の昼までに散歩をすませておけます。台風情報で時間を確かめて、逆算しておきましょう。
家の中でトイレをする準備
外でしかトイレをしない子にとって、台風の日はいちばん困る日です。前日から準備しておきます。
- 外でトイレをするときに、トイレシートを地面に置いて、その上でさせてみる
- うまくいったら、同じシートを玄関やベランダの近く、次に家の中に置く
- 散歩で使っている言葉(「ワンツー」など)があれば、家の中でも同じ言葉をかける
- できたら、すぐにほめる
1日でできるようになるとはかぎりません。台風のシーズンが来る前から、ふだんの練習に入れておくと安心です。
家の中でどうしてもトイレをしないまま時間がたち、様子がいつもとちがうときは、動物病院に電話で相談してください。
散歩に行けない日の過ごし方
外に出られない日は、家の中で頭と体を使う遊びにします。おやつを部屋に隠して探させる遊びや、引っぱりっこ、短いトレーニングなどです。くわしくは雨の日の犬の散歩はどうする?にまとめています。
風の音をこわがる子には
強い風や雨の音、雷をこわがる子もいます。
- 窓から離れた、静かな部屋で過ごす
- ケージに布をかけて、隠れられる場所をつくる
- カーテンや雨戸を閉めて、外の光や音を小さくする
- テレビや音楽など、ふだんの音を小さく流す
こわがって逃げ出そうとする子は、玄関のドアを開けるときに飛び出さないよう、リードをつけておくか、別の部屋に入れておきます。
避難するときは「警戒レベル4まで」より早く
内閣府の避難情報のガイドラインでは、警戒レベルは5段階です。
| 警戒レベル | 出る情報 |
|---|---|
| 3 | 高齢者等避難 |
| 4 | 避難指示 |
| 5 | 緊急安全確保 |
ガイドラインでは「警戒レベル4までに必ず避難!」としています。レベル5は、すでに命の危険がせまっている段階です。
犬を連れて避難するときは、ケージやフードを運び、犬を落ち着かせながら移動するので、人だけより時間がかかります。レベル3(高齢者等避難)が出たら動き始めるくらいの気持ちでいると、風雨が強くなる前に着けます。
避難するときの手順と、避難所での過ごし方は、こちらの記事にまとめています。
停電・断水したら
台風では、強い風で電線が切れて停電することがあります。
- 電気が消えたら:近所も消えているなら、電力会社の配電線の停電です。中部電力パワーグリッドは、家も近所も消えているときはそのまま待つよう案内しています。電力会社の停電情報のページで、復旧の見通しを確かめます
- 停電中は:電気製品のスイッチを切り、プラグをコンセントから抜きます。家を離れるときはブレーカーを落とします(消防庁「通電火災にご注意ください」)
- 夏の停電:冷房が止まると部屋が暑くなります。窓を少し開けて風を通せるか、外の風の強さを見ながら決めます。暑くてどうしようもないときは、停電していない地域の親戚・知人の家や、宿・ペットホテルへ移ることも考えます
- 断水:ためておいた水を、犬の飲み水と、人のトイレ・掃除の水に分けて使います
犬の様子がいつもとちがって気になるときは、迷わず動物病院に電話で相談してください。停電や台風で休んでいる病院もあるので、向かう前に電話で確かめます。
台風が過ぎたあと:散歩の前に道を確かめる
台風が通り過ぎても、道にはいろいろな物が残っています。いつもの散歩コースに出る前に、まず人だけで、または犬をだっこして様子を見ます。
- 割れたガラス、折れた枝、飛んできた看板やトタン
- 垂れ下がった電線や、切れた電線(中部電力パワーグリッドは、近づかないよう注意しています)
- 水がたまった道(下に何があるか見えない)や、増水した川・用水路
- がけや斜面の近く
犬の足のうらは、ガラスや金属でけがをしやすいところです。しばらくは、安全を確かめた短いコースだけを歩きましょう。
よくある質問
Q台風の日、犬の散歩は行かないほうがいいですか?
風雨が強いあいだは行かないでください。気象庁の表では、平均風速20メートル以上で何かにつかまっていないと立っていられず、飛んできた物でけがをするおそれがあるとしています。風が強くなる前に、トイレ中心の短い散歩をすませておきましょう。
Q外でしかトイレをしない犬は、台風の日どうすればいいですか?
前日から、外のトイレのときにトイレシートを地面に置き、その上でさせる練習をします。うまくいったら、シートを玄関や家の中へ少しずつ移します。台風のシーズンの前から練習しておくと安心です。
Q台風に備えて、犬のフードは何日分あればいいですか?
環境省は、ペットのフードと水を少なくとも5日分、できれば7日分以上としています。療法食や薬は手に入りにくいので、いちばん先に確かめてください。
Q犬と一緒に避難するタイミングは?
避難情報は「警戒レベル4までに必ず避難」が基本です。犬連れは移動に時間がかかるので、レベル3(高齢者等避難)が出たら動き始めるくらいの気持ちでいると安心です。
Q台風の風の音をこわがって震えています。どうすればいいですか?
窓から離れた静かな部屋で、ケージに布をかけて隠れられる場所をつくります。カーテンや雨戸を閉め、ふだんの音を小さく流すと、外の音がまぎれます。様子がいつもとちがって心配なときは、動物病院に相談してください。
参考にした情報
- 気象庁「台風情報の種類」
- 気象庁「自分で行う災害への備え」
- 気象庁「風の強さと吹き方」
- 内閣府(防災担当)「避難情報に関するガイドライン」
- 首相官邸「災害が起きる前にできること」
- 環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」
- 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
- 消防庁「通電火災にご注意ください」(令和2年9月3日)
- 中部電力パワーグリッド「停電時の対処法」
(いずれも2026年10月に確認)
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