まず結論:早朝か、日が沈んで地面が冷めてから
夏の散歩は、日の出からまもない早朝か、日が沈んでしばらくたち、地面の熱が引いてからが目安です。「何時なら安全」とは言い切れません。その日の天気や、歩く道(アスファルトか、土や芝生か、日陰があるか)で、地面の熱さが大きく変わるからです。
だから、時刻よりも出かける前に地面をさわって確かめることが大事です。
- 気温が高い日の日中は、散歩をしない
- 出かける前に、手のひらでアスファルトを数秒さわる。熱くて手を当てていられないなら、まだ早い
- 歩くのは日陰、土、芝生の上を選ぶ
- 水を持っていき、こまめに休む
- 暑さ指数(WBGT)が高い日は、短くするか、家の中や屋内の施設で遊ぶ
アスファルトはどれくらい熱くなる?
国土交通省の公開資料には、アスファルト舗装は熱をためやすく、夏の日中、気温30〜40℃のときに60℃にも達することがあると書かれています。
犬は足の裏(肉球)を直接地面につけて歩きます。環境省のパンフレット「防ごう!ペットの熱中症」でも、夏の日中の散歩は、熱中症や肉球をやけどする危険があると注意しています。
犬は地面の熱を受けやすい
もう一つ大事なのが、犬の体の高さです。東京都は、犬は人とくらべて体の位置が地面に近いので、地面からの熱の影響を受けやすいと説明しています。人が「今日はそれほど暑くない」と感じていても、地面に近い犬は、もっと暑い空気の中を歩いていることになります。
小型犬や足の短い犬は、とくに地面との距離が近くなります。また、一般に、鼻の短い犬(短頭犬種)や、厚い毛におおわれた犬、子犬やシニア犬は暑さに気をつけたほうがよいと言われます。ただし暑さへの強さは犬によってちがうので、心配なときはかかりつけの動物病院に相談してください。
道の種類で熱さがちがう
| 歩く場所 | 夏の日中の特徴 | 散歩のときのポイント |
|---|---|---|
| アスファルト | 熱をためやすく、日が沈んでもすぐ冷めない | さわって確かめてから。日なたは避ける |
| コンクリート・タイル | 日なたでは熱くなる | 日陰の部分を選ぶ |
| 土・芝生 | アスファルトより熱くなりにくいことが多い | 公園などを散歩コースに入れる |
| 日陰の道 | 日なたより地面が熱くなりにくい | 建物や並木の日陰を選んで歩く |
同じ散歩コースでも、日なたと日陰、アスファルトと土では、足の裏に伝わる熱がちがいます。夏だけは、日陰と土の道を多く通る「夏用のコース」を決めておくと安心です。
時間帯ごとの目安
アスファルトは熱をためやすいので、日が沈んでもすぐには冷めません。夕方に出かけるときは、日が沈んですぐではなく、少し時間をおいて、地面をさわってから出かけましょう。
朝も同じで、晴れた日は日が昇ると地面がどんどん温まります。朝の散歩は「日が高くなる前に帰ってくる」くらいのつもりで、早めに出ると安心です。
| 時間帯 | 気をつけること |
|---|---|
| 早朝(日の出のころ) | 地面がいちばん冷めている時間帯。日が高くなる前に帰る |
| 日中 | 暑い日は散歩をしない。どうしても外に出るときは日陰・土・芝生を短く |
| 夕方(日が沈む前後) | アスファルトに熱が残っていることがある。さわって確かめる |
| 夜 | 地面が冷めていれば歩きやすい。暗いので光るグッズや明るい道を選ぶ |
日の出・日の入りの時刻を調べておく
「早朝」「日が沈んでから」の時刻は、住んでいる地域や時期で変わります。国立天文台暦計算室の「各地のこよみ」では、都道府県庁所在地などの日の出・日の入りの時刻を調べられます。たとえば夏の間は、日の出の時刻を目安に朝の散歩の時間を決め、日の入りの時刻から少し時間をおいて夜の散歩に出る、という使い方ができます。
ただし、日の出・日の入りの時刻はあくまで目安です。晴れて暑い日は、日が沈んでもしばらく地面が熱いままのことがあります。最後はやはり、地面をさわって確かめてください。
夜の散歩で気をつけること
夜は地面が冷めて歩きやすくなるかわりに、暗さへの備えが必要です。
- 光る首輪やリード、反射材をつけて、車や自転車から見えるようにする
- 明るく、車の少ない道を選ぶ
- 拾い食いに気づきにくいので、足元に気を配る
- 夜でも蒸し暑い日がある。水を持っていく
1日の散歩の組み方の例
暑い日の散歩は、たとえば次のように組み立てられます。
- 早朝:日が高くなる前に、いつもより少し短めのコースを歩く。トイレと軽い運動をすませる
- 日中:冷房のきいた部屋で過ごす。家の中で短く遊ぶ
- 夕方:日が沈んだら、すぐには出ずに地面をさわって確かめる
- 夜:地面が冷めてから、光るグッズをつけて短めに歩く
1回の散歩を長くするより、涼しい時間に短い散歩を2回に分けるほうが、犬の負担を小さくしやすくなります。
梅雨明けと残暑、春の暑い日も
暑さへの注意は、真夏だけのものではありません。体が暑さに慣れていない梅雨明けすぐの時期や、9月になっても暑さが続く残暑の時期、春から初夏にかけて急に気温が上がる日にも、地面は熱くなります。「まだ夏じゃないから」と思わず、暑い日は同じように地面をさわって確かめましょう。
旅行先や帰省先でも
旅行先や帰省先では、散歩コースの日陰や地面の様子がわかりません。着いたら、まず近くを人だけで歩いてみて、日陰の多い道や公園を探しておくと安心です。
出かける前のチェック
地面をさわる
いちばん簡単で確実なのは、出かける前に手のひらでアスファルトをさわることです。数秒手を当てていられないほど熱いなら、犬の足にも熱すぎます。家の前だけでなく、散歩コースの日なたの道も気にかけましょう。
暑さ指数(WBGT)も目安にする
環境省の「熱中症予防情報サイト」では、地域ごとの暑さ指数(WBGT)が見られます。暑さ指数は、気温だけでなく、湿度や、日差し・照り返しなどまわりの熱もあわせた指標です。もともと人の熱中症予防のための指標ですが、外に出てよいかを考える目安になります。
| 暑さ指数 | 環境省の区分 | 日常生活の目安(環境省) |
|---|---|---|
| 31以上 | 危険 | 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する |
| 28〜31未満 | 厳重警戒 | 外出時は炎天下を避ける |
| 25〜28未満 | 警戒 | 運動するときは定期的に十分に休む |
| 25未満 | 注意 | 激しい運動のときは注意 |
環境省は、暑さ指数が28(厳重警戒)を超えると、熱中症になる人が著しく増えると説明しています。人にとって「外出を避ける」レベルの日は、地面に近い犬にとってはもっときびしいと考えましょう。サイトでは、熱中症警戒情報や熱中症特別警戒情報の発表状況も見られます。
出かける前のチェックリスト
- 暑さ指数を見た(28以上なら、散歩の時間と長さを考え直す)
- アスファルトを手でさわった
- 水と器を持った
- 日陰の多い「夏用のコース」を選んだ
- 夜なら、光るグッズをつけた
- 散歩中に休める場所(日陰のベンチなど)を思い浮かべた
散歩中・散歩のあとに気をつけること
水と休けい
東京都は、外出するときはペット用の飲み水を持っていき、こまめに休けいをとるよう呼びかけています。散歩の途中で日陰に入って休み、水を飲ませましょう。
長さを短くする
暑い日は、いつもの散歩の長さにこだわらないことも大事です。朝夕の涼しい時間に短めの散歩を2回に分ける、トイレだけすませてすぐ帰る、といった工夫ができます。運動が足りない分は、家の中の遊びで補いましょう。
帰ったら
- 水を飲ませて、涼しい部屋で休ませる
- 足の裏を見て、赤くなっていないか、いつもとちがう様子がないかを確かめる
- いつもとちがう様子があれば、早めに動物病院に相談する
肉球の様子や体調が気になるときの判断は、この記事ではできません。迷ったら、動物病院に電話で相談してください。
車で出かけるときは
散歩のために車で公園やドッグランへ行くときも、暑さに気をつけます。東京都は、冷房の効いていない車内はわずかな時間でも非常に高温になるとして、短時間でも車から離れるときはペットを一緒に連れて行くよう呼びかけています。環境省のパンフレットも、車内に置いていくことを危険な例として挙げています。
犬ふぁんのデータで見る:暑い日の「代わり」の場所
外を歩けない日は、冷房のきいた屋内で体を動かせる場所が助けになります。犬ふぁんに載っているドッグラン694か所のうち、屋内のドッグランは7.2%、屋外が91.5%でした。ドッグランの多くは屋外なので、夏の日中に使える屋内の施設は限られます。
屋外のドッグランも、夏は利用時間を変えたり、日中の利用に注意をよびかけたりしているところがあります。犬ふぁんで規約まで確かめた公営のドッグランの中には、夏の時間を別に決めている施設もありました(例:福岡県のドッグランの利用案内には「夏季サマータイムあり」と書かれています)。行く前に、季節ごとの利用時間を公式ページで確かめましょう。
公営のドッグランは、利用できる時間が決まっていることがあります。長野市の犀川第2緑地ドッグランは「日の出から日没まで」と案内しています。朝の涼しい時間に行けるか、夜は使えないかなど、時間の決まりも確かめておきましょう。
屋内ドッグランは、近くにあるかどうかを調べておくと、暑い日の選択肢になります。利用料や予約、ワクチン証明の決まりは施設ごとにちがうので、事前に確かめてください。
暑い時期にあると便利な持ち物
| 持ち物 | 使い方 |
|---|---|
| 水と器 | 散歩の途中でこまめに飲ませる |
| 濡らしたタオル | 休けいのときに体をふく |
| 光る首輪・リード | 早朝や夜の散歩で、まわりから見えるようにする |
| うんち袋 | いつもどおり持ち帰る |
家の中でできること
- おもちゃを使った引っぱりっこ、もってこい遊び
- おやつを隠して探させる、においの遊び
- 「おすわり」「まて」などの練習を、ごほうびを使って短く
- 冷房のきいた部屋で、ブラッシングやスキンシップの時間をとる
散歩を控えた日も、家の中が暑くなっていては意味がありません。環境省のパンフレットは、高温の室内も、熱中症の危険がある場所の例に挙げています。留守番のときも含めて、冷房などで室温に気を配りましょう。
よくある質問
Q夏の散歩は何時がいいですか?
日の出からまもない早朝か、日が沈んでしばらくたって地面が冷めてからが目安です。時刻よりも、出かける前にアスファルトをさわって確かめることが大事です。
Q夕方なら大丈夫ですか?
日が沈んだ直後は、アスファルトに熱が残っていることがあります。少し時間をおいて、さわって確かめてから出かけましょう。
Q曇りの日なら日中でも平気ですか?
曇りでも気温や湿度が高い日はあります。地面をさわることと、暑さ指数を見ることをセットにしてください。
Q犬用の靴をはかせれば、日中でも歩けますか?
靴は地面の熱を直接受けにくくしますが、地面に近い犬の体は、照り返しの熱も受けます。靴をはいていても、暑い時間の散歩は避けましょう。
Q散歩に行けない日が続くと、運動不足になりませんか?
朝夕の短い散歩と、家の中の遊びや屋内ドッグランを組み合わせると補えます。暑い時期は「外を長く歩くこと」より「安全に体を動かすこと」を優先しましょう。
Q子犬やシニア犬は、どの時間に散歩すればいいですか?
時間帯の考え方は同じで、早朝か、地面が冷めてからにします。散歩の長さや回数をどうするかは犬によってちがうので、かかりつけの動物病院に相談してください。
参考にした情報
- 国土交通省 公開資料(舗装の新技術の検討結果、「クールペーブ」の項) https://www1.mlit.go.jp/common/001041853.pdf
- 環境省 パンフレット「防ごう!ペットの熱中症」 https://www.env.go.jp/content/000322380.pdf
- 東京都保健医療局 ペットの熱中症についてのお知らせ https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/doubutsu_oshirase/nettyuusyou
- 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について」 https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php
- 国立天文台暦計算室「各地のこよみ」 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/
- 長野市 犀川第2緑地ドッグランの案内ページ https://www.city.nagano.nagano.jp/n202500/contents/p006202.html
- 福岡県「ドッグラン利用案内」 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/232865.pdf
- ドッグランの屋内・屋外の割合:犬ふぁんに載っているドッグランの公開情報(犬ふぁん集計、2026年10月)
(いずれも2026年10月に確認)