まず結論:クールグッズは「暑い時間を避ける・日陰・水」の補助。場面と犬に合わせて選ぶ
夏のおでかけで使う犬用のクールグッズは、種類がたくさんあります。選ぶときに大事なのは、次の3つです。
- どこで使うか:散歩、車での移動、カート、ドッグラン、旅先の宿など、場面で向くものが違う
- その子に合うか:体の大きさ、毛の長さ、かじるくせがあるか、服を着るのに慣れているか
- 安全に使えるか:かじって中身を出さないか、電池を使うものは熱くなる場所に置かないか
そして、いちばん大事なことは、クールグッズを使えば暑い時間に出かけても大丈夫、ではないということです。東京都は、気温の高い日中の散歩は避けて早朝や夕方以降の涼しい時間にすること、外出のときは犬の飲み水を持って行き、こまめに休むこと、冷房の効いていない車内はわずかな時間でも非常に高温になるので、短い時間でも犬を車に残さないことを呼びかけています。クールグッズは、こうした基本の対策をしたうえで「少しでも楽にする」ための道具です。
この記事では、クールグッズの種類ごとのしくみと向き不向き、場面別の選び方、買う前に確かめることをまとめました。商品名ではなく、選ぶときの見方を紹介します。
クールグッズの種類と、しくみ
| 種類 | 冷えるしくみ | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 水でぬらす服・バンダナ | 水が乾くときに熱をうばう | 散歩、ドッグラン、休けい中 | 湿気が多い日は乾きにくく効きにくい。乾いたらぬらし直す |
| 保冷剤を入れる服・ネッククーラー | 冷やした保冷剤で体の一部を冷やす | 短い移動、待ち時間 | かじると中身が出る。冷えすぎ・結露に注意 |
| 冷感マット・クールボード | 体の熱を素材に逃がす | 車内、宿の部屋、カートの底 | 素材が温まると効かなくなる。日なたに置かない |
| ファン付きのグッズ | 風を送って熱を逃がす | カート、クレートの中 | 電池(バッテリー)を熱い場所に置かない |
| 日よけ(カートやクレートのカバー) | 直射日光をさえぎる | カート、車の窓、外の休けい | 風通しが悪くなると中に熱がこもる |
| 携帯用の給水ボトル・折りたたみ食器 | 水を飲ませる | すべての場面 | 水がぬるくならないように、日陰に置く |
水でぬらすタイプ
服やバンダナ、ベストを水でぬらして着せるタイプです。水が乾くときに熱をうばうことで、体の表面を冷やします。電気も保冷剤もいらず、手軽です。
ただし、湿気が多い日は水が乾きにくく、効き目が落ちます。また、乾いてしまえば効果はなくなるので、こまめにぬらし直す必要があります。ぬれたまま長くいると、蒸れが気になる子もいます。
保冷剤を入れるタイプ
ネッククーラーや、服のポケットに保冷剤を入れるタイプです。首まわりなどを直接冷やせるので、短い時間の移動や待ち時間に向いています。
気をつけたいのはかじることです。日本中毒情報センターは、保冷剤には冷凍庫でカチカチに凍るタイプと、凍らないソフトタイプがあり、商品によって成分が違うこと、ソフトタイプを飲みこむと成分や量によっては重い症状が出ることがあると注意を呼びかけています。同センターには、2018〜2022年に保冷剤の誤飲事故の相談が3,046件あり、7月・8月に多くなっています(人の誤飲についての数字です)。かじるくせのある子には、保冷剤を使うグッズは目を離さないときだけ使うか、別の種類を選びましょう。もし犬が保冷剤の中身を口にしてしまったら、すぐに動物病院に相談してください。
冷感マット・クールボード
体の熱を素材に逃がして、ひんやり感じさせるマットやボードです。アルミや大理石のような板、ジェル入りのマット、ひんやりした布地などがあります。車のクレートの底、カートの中、宿の部屋の床などに敷くと、犬が自分で「涼しい場所」を選べます。
ただし、素材が体温や周りの熱で温まると、ひんやり感はなくなります。直射日光の当たる場所や、熱くなった車内に置いたままにしないことが大切です。ジェル入りのものは、かじって中身が出ないかも確かめましょう。
ファン付きのグッズ
カートやクレートに取り付ける小さな扇風機や、ファン付きの服などです。風で熱を逃がします。
これらの多くは、リチウムイオン電池を使っています。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2021〜2025年の5年間にNITEに通知されたリチウムイオン電池を使う製品の事故は2,140件で、気温が上がる春から夏にかけて増え、8月に多くなっています。NITEは、高温になる場所で使ったり置いたりしない、強い衝撃を与えない、異常を感じたら使うのをやめる、販売事業者の連絡先や製品の情報を買う前に確かめる、などを呼びかけています。夏の車内に置きっぱなしにしないこと、犬がかじれる場所にコードや電池を出さないことを守りましょう。
日よけ
カートやクレートのカバー、車の窓のシェードなどです。直射日光をさえぎることで、中が熱くなるのをおさえます。ただし、すき間なく覆ってしまうと風が通らず、中に熱がこもります。メッシュの窓があるか、風が通るかを確かめましょう。
場面別の選び方
朝夕の散歩
散歩は、そもそも涼しい時間に行くことがいちばんの対策です。そのうえで、
- 水でぬらす服やバンダナ(湿気の少ない日に効きやすい)
- 携帯用の給水ボトル
- 地面が熱いときに休める日陰を、コースの中に決めておく
が役立ちます。夏の日中のアスファルトは熱くなり、肉球をやけどする危険もあると東京都は注意を呼びかけています。
車での移動
車での移動では、エアコンで車内を涼しくしておくことが基本です。クールグッズは、
- クレートやドライブボックスの底に敷く冷感マット
- 窓のシェード(日差しの入る側)
- 休けいのときに飲ませる水と折りたたみ食器
が向いています。どんなグッズを使っていても、エアコンを止めた車内に犬を残してはいけません。買い物やトイレのときも、犬を一緒に連れて行くか、だれかが車に残りましょう。
カートでのおでかけ
カートは地面からの照り返しを受けにくい一方、カバーを閉めると中に熱がこもります。
- カートの底に敷く冷感マット
- メッシュの日よけ(風が通るもの)
- 取り付け式の小さなファン(電池の扱いに注意)
を組み合わせ、こまめに中の様子を見ましょう。
ドッグラン・外での休けい
走ったあとは体温が上がります。
- 水でぬらす服やバンダナ
- 日陰とたっぷりの水
- 休けいのときに敷くマット
を用意し、暑い時間は使わないようにしましょう。夏は屋内のドッグランを選ぶのも一つの方法です。
旅先の宿
宿の部屋は、エアコンで温度を管理できます。冷感マットを持って行くと、犬が自分で涼しい場所を選べて落ち着きやすくなります。部屋に犬だけを残すときは、エアコンをつけたままにしてよいか、宿のルールを確かめてください。
犬に合わせて選ぶポイント
体の大きさ・毛の長さ
服やネッククーラーは、サイズが合っていないとずれたり、動きにくくなったりします。首まわり・胸まわり・背中の長さを測ってから選びましょう。毛が長い子や毛の量が多い子は、服の上からでは冷えにくいこともあります。
服を着るのに慣れているか
服を着るのが苦手な子に、いきなりクールウェアを着せると、嫌がって体をこすりつけたり、かじったりすることがあります。家で短い時間から慣らしましょう。服が苦手な子は、マットや日よけなど、体に着けないグッズを中心にするのも一つの方法です。
かじるくせがあるか
保冷剤やジェルが入ったもの、コードや電池のあるものは、かじると危険です。子犬やかじるくせのある子には、中身の出ないもの、目の届く場所でだけ使うものを選びましょう。
子犬・シニア犬・短頭種
暑さへの強さには個体差があります。子犬やシニア犬、パグやフレンチ・ブルドッグのような鼻の短い犬種は、暑さに弱いと一般に言われます。グッズに頼らず、出かける時間や長さそのものを見直しましょう。体調のことで気になる点があれば、出かける前に動物病院に相談してください。
犬ふぁんのデータで見る:涼しい時間に、犬とサイズ合わせに行けるか
クールウェアやネッククーラーは、実際に犬に当ててサイズを確かめてから買うと失敗が少なくなります。ただ、暑い日中に犬を連れて歩くのは避けたいところです。そこで、犬ふぁんに載っているペットショップ2,779件のうち、曜日ごとの営業時間がわかる1,049件で、朝早い時間と夕方以降に開いている割合を見ました。
| 涼しい時間に行けるか | 割合(n=1,049) |
|---|---|
| 朝10時より前に開く | 22.7% |
| 夜20時以降まで開いている | 72.9% |
| 夜21時以降まで開いている | 11.8% |
| 昼に一度閉める時間がある | 27.9% |
朝10時より前に開くお店は22.7%と少なく、開く時刻の真ん中は10時でした。一方、20時以降まで開いているお店は72.9%あります。夏に犬を連れてサイズ合わせに行くなら、日が落ちて地面が冷めてからの夕方〜夜のほうが、行けるお店を見つけやすいと言えます。
車で行くなら、駐車場があるかも大事です。ペットショップ2,779件のうち「駐車場あり」のタグがついているのは635件(22.8%)でした。ただし、これはタグでわかった施設だけの数で、付け漏れも多いので、実際にはもっと多くのお店に駐車場があると考えられます。行く前にお店のページで確かめましょう。そして、駐車場に着いたら犬を車内に残さず、一緒に連れて行くか、だれかが車に残ってください。犬と一緒に店内に入れるかどうかは、お店ごとに違います。
このデータは、犬ふぁんに載っている施設のうち営業時間がわかるものだけの集計です。集めた名簿の範囲に左右されるため、すべてのペットショップを表すものではありません。
長く安全に使うための手入れと点検
クールグッズは、ひと夏ずっと使うものです。使う前と、しまう前に点検しましょう。
使う前の点検
- 服やバンダナの縫い目がほつれていないか。ほつれた糸は、犬がかじって飲みこむもとになる
- 保冷剤やジェルの袋に、破れやへこみ、液もれがないか
- 冷感マットの表面に、かじったあとや破れがないか
- ファンのカバーが外れていないか、羽根に指や犬の鼻先が入るすき間がないか
- 電池が膨らんでいないか、充電中にいつもより熱くならないか
ひとつでも気になるところがあれば、使うのをやめて買いかえを考えましょう。
洗い方と乾かし方
水でぬらす服やバンダナは、汗や皮脂、よだれがつきやすいものです。洗える素材かどうかを表示で確かめ、使ったあとはよく乾かしてからしまいます。ぬれたまま袋に入れておくと、においやカビのもとになります。
季節の変わり目にも使えるように
暑さ対策が必要なのは真夏だけではありません。梅雨の晴れ間や、梅雨明けすぐの体が暑さに慣れていない時期、残暑の続く9月にも、急に暑くなる日があります。夏が終わってしまうときは、来年すぐに出せるように、ひとまとめにしておきましょう。電池を使うグッズは、高温にならない場所に保管してください。
買う前・使う前のチェックリスト
- 使う場面(散歩・車・カート・ドッグラン・宿)を決めたか
- 首まわり・胸まわり・背中の長さを測ったか
- 保冷剤やジェルが入っているか。かじっても中身が出にくいか
- 電池を使うものなら、販売事業者の連絡先や説明書の注意を確かめたか
- 洗えるか、乾きやすいか
- 日よけやカバーは、風が通るか
- 家で短い時間から試して、嫌がらないか確かめたか
- 水と給水用の食器も一緒に持って行くか
よくある質問
Qクールウェアを着せれば、日中に散歩してもいいですか?
クールウェアを着ていても、暑い日中の散歩は避けましょう。犬は地面に近いので、アスファルトの熱や照り返しを受けやすく、肉球をやけどする危険もあります。散歩は早朝か、日が沈んで地面が冷めてからにしてください。
Q保冷剤を首に巻くと冷えすぎませんか?
冷たすぎる保冷剤を直接当てると、冷えすぎたり、結露で毛がぬれたりします。タオルやカバーで包み、様子を見ながら使いましょう。かじらないように目を離さないことも大切です。
Q冷感マットは、エアコンの代わりになりますか?
なりません。冷感マットは、体の熱を素材に逃がすものなので、部屋や車内そのものを涼しくはしません。エアコンで温度を管理したうえで、犬が涼しい場所を選べるように使いましょう。
Qカート用のファンは、充電しながら使ってもいいですか?
充電しながら使ってよい製品かどうかは、取扱説明書で確かめてください。夏の車内のような熱くなる場所に置きっぱなしにしないことも大切です。
Q犬がクールウェアを嫌がります。どうすればいいですか?
家で短い時間から慣らし、着せたらほめる、を少しずつくり返しましょう。どうしても苦手な子は、マットや日よけ、給水など、体に着けないグッズを中心にしてもかまいません。
参考にした情報
- 東京都保健医療局「ペットの熱中症にご注意ください!」
- 日本中毒情報センター「保冷剤の誤飲事故に注意しましょう!」(2023年6月)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を」(2026年7月)
- 犬ふぁん 施設データの集計(ペットショップの営業時間と駐車場のタグ。2026年10月10日時点)
内容は2026年10月に確かめたものです。