まず結論:ケースで固定、近所で練習、休憩はSA・PAで早めに
はじめて犬と車で出かけるなら、大事なのは次の5つです。
- 犬はキャリーやクレートに入れて、後部座席に固定する。 ひざの上や助手席、足元で自由にさせない
- いきなり遠出しない。 止まった車に乗る→エンジンをかける→近所を5分走る、と少しずつ慣らします。旅行の日が決まったら、2〜3週間前から始めると余裕があります
- はじめての遠出は片道1〜2時間から。 休憩はJAFの目安(長い距離は2時間に1回以上)より早めに。はじめてなら1時間ほどで一度止まって様子を見ます
- 高速道路で休むのはSA・PAだけ。 犬が酔ったように見えても路肩には止めず、次のSA・PAへ。ドッグランのあるSA・PAを先に調べておくと安心です
- どんなに短い時間でも、犬だけを車に残さない。 JAFのテストでは、真夏はエアコンを止めて15分で熱中症の危険なレベルになりました
次にすることは、今週末に近所で5分の練習ドライブをしてみることと、行き先までの道で休めるSA・PAを決めておくことです。
出発までの段取り
| いつ | すること |
|---|---|
| 2〜3週間前 | ケースを用意して、車に固定できるか試す。止まった車に乗る練習から始める |
| 1〜2週間前 | 近所を5分→20〜30分→1時間と、走る時間をのばす。行き先は公園など楽しい場所に |
| 1週間前 | ルートを決め、休憩するSA・PA(ドッグランの有無)を調べる。行き先の近くの動物病院も |
| 前日 | 持ち物をそろえる。迷子札、ワクチン証明の写真 |
| 当日の朝 | 散歩とトイレ。出発の直前にたっぷり食べさせない。車内を涼しく(暖かく)してから乗せる |
練習がうまくいかないときは、旅行の距離を短くするか、日にちをずらすほうが、犬にも人にも楽です。
車への乗せ方:ケースに入れて、後部座席に固定
ケースで固定する
急ブレーキやカーブで犬が投げ出されないよう、犬はキャリーやクレート(かたいケース)に入れ、シートベルトなどで動かないように固定します。
- ケースは、中で犬が立って向きを変えられるくらいの大きさ
- 床にタオルやペットシーツを敷いて、すべりにくくする
- 扉がしっかり閉まるかを出発前に確かめる
- 大型犬で入るケースがないときは、荷室に柵をつけるなど、動ける範囲を限る
環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」も、動物を運ぶときは、なるべく短い時間ですむ方法を選んで必要に応じて休憩をとること、安全と逃げ出し防止に必要な大きさ・つくりの容器を使うこと、水や食べ物をあげ、温度・湿度・換気に気をつけることを求めています。ドライブでも「短く・ケースで・水と温度」が基本です。
ひざの上・助手席・窓から顔を出すのは避ける
| 乗せ方 | 何が困るか |
|---|---|
| 運転する人のひざの上・足元 | 運転のさまたげになる。ブレーキペダルのまわりに入りこむと、とっさに踏めない |
| 助手席で抱っこ | 急ブレーキで前に飛ばされる。エアバッグが開いたときに当たるおそれ |
| 窓から顔を出す | 飛び出しや、飛んできた物が当たるおそれ |
道路交通法第55条第2項では、運転者の視野やハンドルなどの操作をさまたげるような乗せ方をして運転してはいけない、とされています。換気は窓を少し開ける程度にして、顔が外に出ないようにします。同乗者がいるなら、ケースの隣に座って声をかけてあげると、犬も落ち着きやすくなります。
車に慣らす:5段階の練習
車に酔いやすい犬は、「車=こわい・気持ち悪い」と覚えると、乗るだけで落ち着かなくなります。楽しい経験から少しずつ積み重ねるのがコツです。
| 段階 | やること | 次に進む目安 |
|---|---|---|
| 1 | エンジンをかけずに車に乗せ、おやつをあげて降りる | 自分から車に近づく |
| 2 | ケースに入れてエンジンをかけ、音と振動に慣らす | エンジン音でそわそわしない |
| 3 | 近所を5分ほど走って、すぐ帰る | 降りたときに元気がある |
| 4 | 行き先を公園など楽しい場所にする | 車に乗るのを嫌がらない |
| 5 | 20〜30分、1時間と少しずつのばす | 落ち着いていられる時間がのびる |
1日でぜんぶ進める必要はありません。落ち着いていられた段階で終わりにして、次の日にまた少し進めます。車に乗るのが動物病院のときだけだと、車そのものをこわがることがあるので、練習の間は行き先を犬が喜ぶ場所にしましょう。
酔っているかもしれないサイン
- よだれが増える、口をぺろぺろなめる、何度もあくびをする
- そわそわして鳴く、またはじっと動かなくなる
- 吐いてしまう
こうした様子が見えたら、安全な場所に止めて外の空気を吸わせ、休憩します。毎回つらそうなときや酔い止めを使いたいときは、人の薬を使わず、動物病院に相談してください。
走り方も工夫する
- 急ハンドル・急ブレーキを避け、ゆっくり発進・停止する
- カーブの多い山道は、ふだん以上にスピードを落とす
- ときどき空気を入れかえ、ケースに直射日光が当たらないよう日よけを使う
- 同乗者がいれば、犬の様子を見る係を決めておく
休憩のとり方:SA・PAで、早めに
間隔は1〜2時間、はじめてなら1時間で一度止まる
JAFは、長い距離を走るときは2時間に1回以上休憩できるよう、余裕のある計画を立てるよう呼びかけています。これは運転する人の居眠りを防ぐための目安です。犬連れならトイレと水もあるので、それより早めに休む計画にしましょう。
高速道路では、休めるのはSA・PAだけ
NEXCO西日本は、高速道路では、危険を防ぐためや故障などの場合を除いて駐車・停車が禁止されていると案内し、休憩は手前のSA・PAを使うよう呼びかけています。犬の様子が気になっても路肩には止めず、次のSA・PAまで走ります。
ドッグランのあるSA・PAを先に決めておく
NEXCO中日本の管内には37か所のSA・PAにドッグランがあり、ほとんどに水飲み場、シャワー、ふん用のごみ箱がそろっています。一方で、ドッグラン以外では必ずリードをつけ、犬から目を離さないようにと呼びかけています。SA・PAの駐車場は車の出入りが多いので、とくに気をつけましょう。
関東から西へ向かう東名・新東名・中央道などには、ドッグランのあるSA・PAが続きます。上りと下りで場所が違うので、行きと帰りそれぞれで寄れるところを確かめておきます。
東名・新東名・中央道などのSA・PAのドッグラン(例)
静岡県の5か所
- EXPASA足柄(下り) ドッグラン静岡県小山町
- NEOPASA駿河湾沼津(下り) ドッグラン静岡県沼津市
- NEOPASA静岡(下り) ドッグラン静岡県静岡市葵区
- 牧之原SA(上り) ドッグラン静岡県牧之原市
- NEOPASA浜松(上り) ドッグラン静岡県浜松市浜名区
いる場所の近くのドッグランも探せます。
一覧から探す →使える時間や決まりは変わることがあるので、出かける前にSA・PAの公式ページで確かめてください。ほかの道なら、行き先の県のドッグランの一覧からも探せます。
ドッグランに入るかは、その日の犬の様子で決めます。はじめての場所で興奮しやすい子や疲れている子は、水とトイレだけでも十分です。
休憩でやることの順番
- 車を止めたら、ドアを開ける前にリードをつける(開けた瞬間の飛び出しを防ぐ)
- 人の少ない場所でトイレをさせる。うんちは持ち帰るか、決められた場所へ
- 水を飲ませる
- 少し歩いて体をほぐす
- 車に戻ったら、ケースの固定がゆるんでいないか確かめる
毎回同じ順番にすると、犬も「ここで降りて、トイレをして、また乗る」流れを覚えやすくなります。
夏の車内と「ちょっとの間」の置き去り
JAFが気温35度の晴れた日に行ったテストでは、窓を閉めた車内の最高温度は次のとおりでした。
| 車の条件 | 車内の最高温度 |
|---|---|
| 対策なし(黒い車) | 57度 |
| 対策なし(白い車) | 52度 |
| サンシェードをつけた | 50度 |
| 窓を3cm開けた | 45度 |
| エアコンをつけていた | 27度 |
エアコンを止めてから15分で、熱中症の危険を示す指数が危険なレベルに達したとしています。サンシェードや窓を少し開ける対策では、ほとんど下がりません。
JAFによると、2022年8月の1か月間に、子どもやペットが車に閉じこめられたトラブルで出動したのは87件、そのうち36件がペットでした。ペットがドアロックのボタンを踏んでカギがかかった例もあります。
- 買い物やトイレの「ちょっとの間」でも、犬を車に残さない
- 人がトイレに行くときは、交代で犬を見るか、犬も一緒に連れて出る
- 夏は朝夕の涼しい時間に移動する
- 冬も、晴れた日は日差しで車内の温度が上がる。季節にかかわらず残さない
泊まりに行くなら:着く時間から逆算する
犬と泊まれる宿へ車で行く人も多いはずです。犬ふぁんが集めた、楽天トラベルに載っている犬と泊まれる宿2,500軒では、チェックインが15時台の宿が78.7%、駐車場が無料と書かれている宿が83.5%でした(2026年10月10日時点)。
- 15時に着くように逆算して出る。 片道3時間なら、休憩を2回ほど入れて、お昼ごろの出発です
- 早く着きそうなら、途中で公園やドッグランに寄る。 体を動かしておくと、宿で落ち着いて過ごしやすくなります
- 駐車場は台数と、部屋までの距離を確かめる。 荷物と犬を同時に運ぶので、遠いと大変です
- 帰りは朝のうちに出る。 チェックアウトは10時台が73.8%、11時台が22.9%(n=2,500)。帰りの休憩場所も決めておきます
はじめての泊まりなら、家から1〜2時間で行ける宿を選ぶと、犬の様子を見ながら旅ができます。宿選びから当日の過ごし方までははじめての犬連れ旅行、行き先の決め方は犬連れ旅行のおすすめエリアと計画の立て方にまとめています。
持ち物リスト
| 持ち物 | ポイント |
|---|---|
| キャリー・クレート | 車に固定できるもの |
| リード・首輪(ハーネス) | 迷子札をつけておく |
| 水・器 | 休憩のたびに飲ませる |
| ペットシーツ・ビニール袋 | 吐いたとき、トイレの片づけに |
| タオル・ウェットシート | 車内のよごれや足ふきに |
| うんち袋 | 休憩のたびに使う |
| いつもの毛布・おもちゃ | 安心できるにおい |
| 日よけ | ケースに直射日光が当たらないように |
| ワクチン証明の写し・写真 | ドッグランや宿で求められることがある |
ふだんのフードと、かかりつけの動物病院の連絡先も持っていきましょう。泊まりの旅行の持ち物は犬の旅行の持ち物リストで確かめられます。
よくある質問
Q助手席で抱っこしていれば大丈夫ですか?
急ブレーキで犬が前に飛ばされたり、エアバッグが開いたときに当たったりするおそれがあります。運転のさまたげにもなるので、ケースに入れて後部座席に固定するのが安心です。
Q犬を車に乗せるとき、法律で決まりはありますか?
道路交通法第55条第2項で、運転者の視野やハンドルなどの操作をさまたげるような乗せ方をして運転してはいけないとされています。ひざの上や足元で自由にさせる乗せ方は避けましょう。
Q休憩は何分おきにとればいいですか?
JAFは長い距離では2時間に1回以上の休憩をすすめています。犬連れならトイレと水もあるので、それより早めに。はじめてなら1時間ほどで一度止まって様子を見ましょう。
Q車酔いは慣れれば平気になりますか?
短い練習をくり返すと、落ち着いて乗れるようになる犬は多いです。ただ、何度練習しても毎回つらそうなときは、動物病院に相談してください。
Q冬なら車に少し残しても平気ですか?
冬でも晴れた日は日差しで車内の温度が上がりますし、ペットがドアロックを踏んで閉じこめられるトラブルもあります。季節にかかわらず、犬だけを車に残さないようにしましょう。
参考にした情報
- 道路交通法 第55条(乗車又は積載の方法)(e-Gov法令検索)
- 環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」
- JAF「高速道路での居眠り運転を防止するための対策とは?」
- JAF「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」
- JAF「車内熱中症に注意!子どもやペットを残したままのキー閉じこみ」
- NEXCO西日本「安全走行のポイント」
- NEXCO中日本「ドッグラン」
- 犬ふぁん 施設データの集計(犬と泊まれる宿2,500軒。楽天トラベルに載っている宿の公開情報、2026年10月10日時点)
(いずれも2026年10月に確認)
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