まず結論:30日以内に「登録」、毎年1回「予防注射」、札は犬につける
犬を飼い始めたら、法律(狂犬病予防法)で決まっている手続きが2つあります。
- 犬の登録:生後91日以上の犬を飼い始めたら、30日以内に住んでいる市区町村に登録して「鑑札(かんさつ)」をもらう
- 狂犬病の予防注射:毎年1回受けさせて、市区町村から「注射済票(ちゅうしゃずみひょう)」をもらう
もらった鑑札と注射済票は、犬の首輪などにつけておくところまでが義務です。厚生労働省は、登録や注射をしない、札をつけないといった場合は20万円以下の罰金の対象になると案内しています。
さらに、ペットショップやブリーダーから迎えた犬には、たいていマイクロチップが入っています。その場合は、マイクロチップの情報を自分の名前に変える「変更登録」も30日以内に必要です。
| 手続き | いつまでに | どこで |
|---|---|---|
| 犬の登録(鑑札) | 飼い始めて30日以内(生後91日以上の犬) | 市区町村の窓口、電子申請、委託された動物病院など |
| 狂犬病の予防注射(注射済票) | 毎年1回(4〜6月が注射の期間) | 動物病院、市区町村の集合注射 |
| マイクロチップの変更登録 | 迎えてから30日以内 | 環境省の登録サイト(オンライン)か郵送 |
この記事では、3つの手続きを「何を・いつ・どこで・いくらで」の順に整理し、最後に迎えた日からのチェックリストと、おでかけ先で聞かれる書類の話をまとめます。
犬の登録と鑑札
登録は、その犬について一生に1回
犬の登録は、毎年するものではありません。その犬について一生に1回です。登録すると「鑑札」という小さな札がもらえます。鑑札には登録番号が入っていて、迷子になったときに飼い主を探す手がかりになります。
手続きできる場所は市区町村によって違います。たとえば、
- 役所や保健所、保健センターの窓口
- 電子申請(オンライン)
- 市区町村が委託した動物病院(予防注射と同時に手続きできる)
などがあります。堺市は、委託された動物病院なら注射と同時に登録や注射済票の手続きができると案内しています。窓口に行く手間を減らしたいときは、かかりつけの動物病院が委託先かどうかを聞いてみましょう。
手数料の例
登録の手数料は市区町村が条例で決めています。例として、東京都杉並区と大阪府堺市のページでは次の金額でした(2026年10月に確認)。
| 項目 | 杉並区 | 堺市 |
|---|---|---|
| 登録(鑑札の交付) | 3,000円 | 3,000円 |
| 注射済票の交付 | 550円 | 550円 |
| 鑑札の再交付 | 1,600円 | ページで要確認 |
| 注射済票の再交付 | 340円 | ページで要確認 |
ほかの市区町村では金額が違うことがあります。手続きの前に、お住まいの市区町村の「犬の登録」のページで確かめてください。
鑑札と注射済票は「つけておく」もの
鑑札と注射済票は、もらって引き出しにしまっておくものではありません。法律で、犬につけておくことが決まっています。首輪やハーネスにつけるか、専用のケースやホルダーに入れて身につけさせましょう。
金属の札が歩くたびに鳴るのが気になる犬もいます。そのときは、札を入れる布やシリコンのケースを使うと音が小さくなります。外れやすいつけ方だと、なくしたときに再交付の手数料がかかるので、しっかり留めておきます。
狂犬病の予防注射
毎年1回、4〜6月が注射の期間
狂犬病の予防注射は、生後91日以上の犬に毎年1回受けさせる義務があります。厚生労働省は、毎年4月から6月を狂犬病予防注射の期間としています。
注射を受けると、動物病院から「注射済証(証明書)」がもらえます。これを市区町村に出して、その年度の「注射済票」をもらいます。注射済票は年度ごとに色や形が変わるものが多く、毎年新しいものにつけかえます。
受け方は2つ
- 動物病院で受ける:かかりつけの動物病院で受けられます。市区町村から委託を受けた病院なら、注射済票の手続きまでまとめてできることがあります
- 集合注射で受ける:春に、市区町村や地域の獣医師会が会場を用意して注射を行うことがあります。堺市は、毎年4月に堺市獣医師会の協力で市内の動物病院を会場にした定期の予防注射を行うと案内しています。日時や場所は市区町村のお知らせで確かめてください
体調や持病があって注射を受けてよいか迷うときは、自分で判断せずに、かかりつけの動物病院に相談してください。
注射の料金(動物病院に払うお金)は、病院や市区町村によって違います。この記事では金額を書きません。
4〜6月を過ぎてしまったら
4〜6月は「この期間に受けましょう」という期間です。過ぎてしまっても、動物病院で受けることはできます。受けたら、市区町村で注射済票をもらう手続きをします。後回しにせず、早めに受けておきましょう。
マイクロチップの変更登録
ショップ・ブリーダーから迎えた犬は「変更登録」がいる
2022年6月から、犬や猫を売る業者(ペットショップやブリーダー)は、売る犬にマイクロチップを入れて、国のデータベースに登録することが義務になりました。そのため、業者から迎えた犬には、たいていマイクロチップが入っていて、業者の情報で登録されています。
迎えた人は、迎えてから30日以内に、自分の名前・住所・電話番号に変える「変更登録」をする義務があります(名古屋市の案内でも30日以内とされています)。手続きは、環境省が指定した登録機関(日本獣医師会)が運営する「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトで行います。
変更登録には、迎えるときに業者から受け取る登録証明書が必要です。環境省のQ&Aによると、オンラインで登録した場合の登録証明書はPDFでダウンロードでき、印刷しても、メールで送っても渡せるとされています。迎える日に「登録証明書はもらえますか」と確かめておくと安心です。
手数料
環境省のQ&Aでは、変更登録の手数料は次のとおりです(2026年10月に確認)。
| 申請の方法 | 手数料 |
|---|---|
| オンライン | 400円 |
| 紙(郵送) | 1,400円 |
引っ越しや電話番号の変更などで登録の内容を変える「変更届出」には、手数料はかかりません。
友人や保護団体から迎えた場合
業者以外(知り合い、保護団体など)から迎えた犬では、マイクロチップを入れることは「努力義務(できるだけ入れる)」です。ただし、すでにマイクロチップが入っていて登録されている犬を迎えたときは、変更登録が必要です。前の飼い主や団体から、登録証明書を受け取っておきましょう。
「狂犬病予防法の特例」で手続きが1回ですむ市区町村もある
市区町村によっては、「狂犬病予防法の特例」という仕組みに参加しています。環境省の制度説明によると、この仕組みでは、
- マイクロチップの登録情報が、登録機関から市区町村に届く
- 入っているマイクロチップが、狂犬病予防法の鑑札とみなされる
ようになります。つまり、参加している市区町村では、マイクロチップの登録(変更登録)をすれば、市区町村での犬の登録もしたことになります。
たとえば杉並区は、マイクロチップを入れて登録機関に登録している犬は、区の窓口への申請や届出が要らず、鑑札をつける必要もないと案内しています。堺市も、登録機関で所有者の変更登録をすることで市への登録ができると案内しています。
犬ふぁんのデータで見る「おでかけ先で求められる書類」
登録と予防注射は、法律の義務であると同時に、おでかけ先で「利用できるかどうか」を決める条件にもなります。犬ふぁんで規約まで公式ページで確かめたドッグランのデータから、どんな書類が求められているかを見てみます。
- 狂犬病予防注射の証明80.2%166
- 登録制・会員制75.8%157
- 鑑札35.3%73
- 年度ごとの更新28.0%58
- 混合ワクチンの証明22.7%47
- 犬の写真8.2%17
- 身分証5.8%12
読み取れることは3つです。
- 狂犬病の予防注射は、ほとんどのドッグランで前提:207か所のうち8割が証明を求めています。注射済票や注射済証は、おでかけの「入場券」のようなものです
- 鑑札を求めるところは3割強:鑑札そのものより、注射の証明を重く見ているところが多いことがわかります
- 毎年の更新があるところも約3割:年度ごとに登録しなおすドッグランでは、その年度の注射の証明を毎回見せることになります
実際の規約の例(公式ページより)
- 千葉県印西市の北総花の丘公園ドッグランは、年度ごとの登録制で、当年度か前年度の注射済票、または注射済証(コピーやスマホの画像でもよい)を求めています。鑑札で代わりにできる扱いもあります
- 神奈川県相模原市の相模原公園ドッグランは、会員登録の際に、犬の鑑札またはマイクロチップの登録証明書、当年度の注射済票、1年以内の混合ワクチンの証明、顔写真つきの身分証を求めています
- 新潟県新発田市の紫雲寺記念公園のドッグランは、会員登録に犬の鑑札、過去1年以内の注射済票、飼い主の身分証が必要で、年度ごとの更新です
相模原公園の例のように、鑑札の代わりにマイクロチップの登録証明書でもよいとする施設があるのは、さきほどの「特例」で鑑札を持たない犬がいるためです。特例の地域に住んでいる人は、マイクロチップの登録証明書もすぐ出せるようにしておくと困りません。
宿でも「ワクチンの証明」を求めるところがある
犬と泊まれる宿のデータ(楽天トラベルに載っている2,500軒。宿の注意事項に書かれていたことだけを拾ったもの)では、注意事項に「ワクチンの証明」について書いている宿が128軒(5.1%)ありました。書いていない宿でも、チェックインのときに見せるよう求められることがあります。泊まる前に宿に確かめておきましょう。
引っ越し・飼い主の変更・亡くなったとき
登録した内容が変わったときも、届け出が必要です。
- 引っ越したとき:新しい住所の市区町村で手続きします。杉並区は、転入したときは新しい住所地で手続きをし、前の住所地での手続きは要らないと案内しています。堺市は、市外から転入したとき前の鑑札があれば無料で交換すると案内しています。扱いは市区町村によって違うので、前の鑑札は捨てずに持っていきましょう
- マイクロチップの情報も変える:住所や電話番号が変わったら、登録サイトで「変更届出」をします(手数料はかかりません)。特例の地域なら、これが市区町村への届け出にもなることがあります
- 飼い主が変わったとき:市区町村への届け出と、マイクロチップが入っていれば新しい飼い主による変更登録が必要です
- 亡くなったとき:市区町村に死亡の届け出をします。杉並区は、死亡した日から30日以内に届け出るよう案内しています。マイクロチップの登録がある場合は、そちらにも届け出ます
- 鑑札や注射済票をなくしたとき:市区町村で再交付を受けます(手数料がかかります。杉並区は鑑札1,600円、注射済票340円)
迷子になったとき、マイクロチップや鑑札の番号から飼い主にたどりついても、電話番号が古いままだと連絡がつきません。登録の内容は「いまの連絡先」にしておくことが大切です。
迎えた日からのチェックリスト
順番にやれば、迷わず終わります。
- 迎えるとき、販売業者や前の飼い主からマイクロチップの登録証明書を受け取る
- 迎えてから30日以内に、マイクロチップの変更登録をする(オンラインなら400円)
- 自分の市区町村が「狂犬病予防法の特例」に参加しているか確かめる
- 参加していなければ、市区町村で犬の登録をして鑑札をもらう(生後91日以上の犬で、飼い始めて30日以内)
- 狂犬病の予防注射を受けて、注射済票をもらう(その後は毎年1回。4〜6月が期間)
- 鑑札と注射済票を首輪などにつける
- 注射済証と、マイクロチップの登録証明書を写真に撮ってスマホに入れておく(ドッグランや宿で見せるとき用)
- 引っ越し・飼い主の変更・死亡のときは、そのつど届け出る
| 書類・札 | どこで使うか | 保管のコツ |
|---|---|---|
| 鑑札 | 犬につける。迷子のときの手がかり | 首輪にしっかり留める |
| 注射済票 | 犬につける。毎年つけかえる | 古いものと取り違えない |
| 注射済証(証明書) | ドッグラン・宿・ペットホテルの登録 | 紙はファイルに、写真をスマホに |
| マイクロチップ登録証明書 | 変更登録、特例地域での「鑑札の代わり」 | PDFならスマホとパソコンに保存 |
この流れが終われば、ドッグランやペットホテル、犬と泊まれる宿で「登録と予防注射はすみましたか?」と聞かれても安心です。予防注射やワクチンのことを相談できる動物病院を探すときは、次の一覧が使えます。
よくある質問
Q室内だけで飼う小型犬でも、登録と予防注射は必要ですか?
必要です。狂犬病予防法の義務は、室内飼いかどうかや体の大きさに関係なく、生後91日以上の犬の飼い主にかかります。
Q子犬を生後60日で迎えました。いつ手続きすればいいですか?
マイクロチップの変更登録は、迎えてから30日以内に行います。市区町村での登録と予防注射は、生後91日を過ぎてからが目安です。細かい扱いは市区町村のページで確かめてください。
Qマイクロチップの変更登録をしたら、市区町村での登録はいりませんか?
市区町村が「狂犬病予防法の特例」に参加していれば、変更登録で犬の登録をしたことになります。参加していない市区町村では、別に登録が必要です。どちらの場合も、予防注射は毎年必要です。
Q鑑札をなくしてしまいました。
市区町村で再交付を受けられます。手数料がかかります(例:杉並区は1,600円)。
Qドッグランで「鑑札を見せて」と言われましたが、特例の地域なので鑑札がありません。
相模原公園ドッグランのように、マイクロチップの登録証明書で代えられる施設があります。扱いは施設によって違うので、事前に問い合わせてください。
参考にした情報
- 厚生労働省「狂犬病予防法に基づく犬の登録・予防注射について」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html
- 環境省「マイクロチップ Q&A」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip_qa.html
- 環境省 動物愛護管理室「マイクロチップの装着等の義務化に係る制度説明」(令和5年3月) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip/seido.pdf
- 犬と猫のマイクロチップ情報登録(環境大臣の指定登録機関:日本獣医師会) https://reg.mc.env.go.jp/
- 名古屋市 マイクロチップ情報登録の案内 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/pet/1015199/1034042/1015204.html
- 杉並区 犬の登録・狂犬病予防注射の案内 https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/doubutsu/1026924.html
- 堺市 犬の登録・狂犬病予防注射の案内 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/dobutsu/dogcat/inutoroku/torokuchusha.html
- 犬ふぁん 施設データの集計(ドッグランの利用ルール、犬と泊まれる宿。2026年10月10日集計)
(公式ページはいずれも2026年10月に確認)