まず結論:「何時間まで」の決まりはない。短い時間から少しずつ、長い日は人の手を借りる
子犬の留守番について、「何時間までなら大丈夫」という国や公的機関の決まった基準はありません。月齢、ごはんの回数、トイレの間隔、性格によって、できることが大きく違うからです。
そのうえで、考え方の基本は次の3つです。
- 迎えてすぐは、長い留守番をさせない:まずは新しい家に慣れることが先
- 数分から少しずつのばす:ひとりで過ごす練習を、短い時間から積み重ねる
- 長くなる日は、人の手を借りる:家族、ペットシッター、犬の幼稚園(デイケア)、ペットホテルの日帰り預かりなど
子犬はごはんの回数が多く、トイレの間隔も短めです。ごはんの回数や量は、かかりつけの動物病院やフードの表示で確かめ、ごはんとトイレの間隔を、留守番の長さの目安にすると考えやすくなります。
子犬の時期について知っておくこと
販売業者から迎える子犬は、生後56日をすぎてから
動物愛護管理法により、犬猫の販売業者は、生後56日(8週)をすぎていない犬猫を販売したり、販売のために引き渡したり、展示したりできません。例外として、天然記念物に指定された日本犬(秋田犬、甲斐犬、紀州犬、柴犬、北海道犬、四国犬)を、専門の繁殖業者が一般の飼い主に直接販売する場合は、生後49日をすぎていれば販売できます。
埼玉県の案内では、この決まりの理由として、早く親から離すと、成長してから咬み癖や吠えといった行動が出やすくなることや、感染症のリスクが上がることが報告されている、と説明されています。
つまり、販売業者から迎える子犬は、早くても生後2か月ほどで家に来ます。
生後3週から16週ごろは「社会化期」
環境省の「子犬と子猫の適正譲渡ガイド」では、一般に犬は生後3週から16週までが「社会化期」と呼ばれ、さまざまなことを受け入れやすい時期とされている、と説明されています。社会化とは、人やほかの動物、さまざまなものや環境に慣らしていくことです。
同じガイドでは、慣らすときのポイントとして、次の3つをあげています(要約)。
- 小さな刺激から、少しずつ慣らす
- 新しい刺激と、よいこと(フードなど)を結びつける
- 怖がることは無理にしない
また、社会化期をすぎても、ゆっくり時間をかければ、さまざまなことに慣らすことはできる、とも書かれています。
留守番の練習も、この考え方と同じです。「ひとりの時間」という新しいことに、短い時間から、よいことと結びつけて、怖がらせないように慣らしていきます。迎えてすぐの数週間に長い時間ひとりにすると、留守番が「こわいこと」として覚えられてしまうこともあるので、最初はとくにていねいに進めましょう。
「月齢+1時間」はあくまで俗説
ネットでは「トイレをがまんできる時間は月齢+1時間」といった目安を見かけることがあります。これは公的な基準ではなく、子犬によって大きく違います。この数字だけで留守番の時間を決めず、自分の子犬のトイレの間隔を数日記録して、それを目安にしましょう。
留守番の練習のしかた
ステップ1:同じ家の中で離れる
- サークルやクレートの中で、おやつや、かじっても大丈夫なおもちゃを与える
- その間に、飼い主は同じ部屋の少し離れたところへ
- 落ち着いていられたら、となりの部屋へ数秒、数十秒と離れてみる
ステップ2:短い外出
- ゴミ出しや郵便受けを見に行くなど、数分の外出から
- 帰ってきたら、子犬が落ち着いてから声をかける
- 慣れてきたら、15分、30分と少しずつのばす
出かけるとき・帰ったときは「さらっと」
出かける前に大げさに声をかけたり、帰ってすぐ大さわぎしたりすると、留守番の前後の変化が大きくなり、子犬が不安になりやすいと言われます。出かけるときも帰ったときも、ふだんどおりに。子犬が落ち着いてから、たっぷりかまってあげましょう。
進め方の例:迎えてからの数週間
あくまで一つの例ですが、次のような順番で進めると、子犬に無理をさせずに留守番の時間をのばしていけます。子犬の様子によって、もっとゆっくりでもかまいません。
- 迎えて最初の数日:家に慣れることが最優先。できるだけ家族のだれかが家にいるようにし、サークルの中でおやつをもらう、寝る、といった「ひとりでも落ち着ける時間」を少しずつ作る
- 1週目の後半:同じ部屋の中で離れる、となりの部屋に行く、を何度もくり返す。鳴いてもすぐには戻らず、静かになったタイミングで戻る
- 2週目:ゴミ出しなど数分の外出を始める。帰ってきたときにトイレを失敗していないか、カメラで落ち着いていたかを確かめる
- 3週目以降:15分、30分、1時間と、子犬のトイレの間隔の中で少しずつのばす。長くなる日は、途中で家族やシッターに様子を見てもらう
生活の音に慣らしておく
環境省のガイドでは、ラジオなどを使って、インターフォン、サイレン、子どもの声といった生活の音を流し、音に慣らす方法が紹介されています。音を怖がる子犬の場合は、小さな音から始めるように、とされています。留守番中に外の物音で不安にならないよう、家にいるときから、ふだんの生活の音に少しずつ慣らしておくとよいでしょう。
留守番の前にすること
- 散歩や遊びで、ほどよく体を動かしておく(散歩に出られる時期かは、ワクチンの予定と合わせて動物病院に確かめる)
- トイレをすませておく
- ごはんの時間とのかね合いを考える
留守番の部屋の準備
子犬は好奇心が強く、何でもかじったり口に入れたりします。留守番の前に、部屋の安全を確かめましょう。
| 準備すること | ポイント |
|---|---|
| サークル・クレート | 寝床とトイレを置ける広さに。ふだんから中で落ち着けるようにしておく |
| 水 | こぼれにくい器や給水器を用意する |
| トイレ | 寝床から少し離して置く |
| 室温 | 夏の暑さ、冬の寒さに合わせて冷暖房を使う。直射日光の当たらない場所に |
| 危ないもの | 電気コード、小さな物、食べ物、薬、観葉植物などを届かないところへ |
| おもちゃ | 飲みこむおそれのない大きさ・かたさのもの |
| 見守りカメラ | 留守中の様子がわかり、練習の時間をのばすかどうかの判断に使える |
犬ふぁんのデータで見る、長い日の預け先
仕事や用事で、どうしても長く家をあける日もあります。そんな日は、ひとりで長く待たせるより、人の手を借りる方法を考えましょう。犬ふぁんのデータから、預け先を選ぶときに役立つ数字を紹介します。
ペットホテルの営業時間:10時開店・20時閉店が中心
犬ふぁんに載っているペットホテルのうち、曜日ごとの営業時間がわかる1,141施設を見ると、開店時間の中央値は10:00、閉店時間の中央値は20:00でした。
| 開店時間 | 施設数 | 割合(%) |
|---|---|---|
| 0:00〜7:00前 | 1 | 0.1 |
| 7:00〜8:00前 | 2 | 0.2 |
| 8:00〜9:00前 | 14 | 1.2 |
| 9:00〜10:00前 | 441 | 38.7 |
| 10:00〜11:00前 | 440 | 38.6 |
| 11:00〜12:00前 | 241 | 21.1 |
| 12:00〜24:00前 | 2 | 0.2 |
(n=曜日ごとの営業時間がわかるペットホテル1,141施設)
9時より前に開く施設はわずかで、多くは9時台か10時台の開店です。朝の出勤前に子犬を預けてから仕事に行く、という使い方は、多くの施設ではむずかしいことがわかります。また、昼休みのある施設が45.6%あり、20時以降も開いている施設は56.4%でした。土曜に営業している施設は91.8%、日曜は83.4%です。
日帰りで預かる施設は多くない
同じペットホテルのデータで、「日帰り預かり」のタグがついている施設は、1,549件のうち171件(11%)でした。タグはわかった施設だけにつけているので実際より少ない可能性がありますが、「昼間だけ預けたい」ときは、日帰りの預かりをしているかを先に確かめる必要があります。
預け先ごとの特徴
| 預け先 | よいところ | 確かめること |
|---|---|---|
| 家族・知人 | 子犬が知っている人なら安心しやすい | ごはん・トイレ・遊びの決まりを紙に書いて渡す |
| ペットシッター | 住み慣れた家で過ごせる。ごはんやトイレの片づけを頼める | 訪問の時間と回数、鍵の預け方、料金 |
| 犬の幼稚園(デイケア) | 日中、人やほかの犬と過ごせる。しつけの練習をする施設もある | 受け入れる月齢、ワクチンの条件、送り迎えの時間 |
| ペットホテル(日帰り・宿泊) | 泊まりがけの外出にも使える | 子犬を受け入れるか、日帰りがあるか、預け・迎えの時間 |
犬ふぁんに載っている施設の数(2026年10月10日時点の集計)では、ペットシッターが135件、犬の幼稚園・デイケアが52件で、ペットホテル(1,549件)にくらべるとまだ少なめです。集めた名簿の範囲に左右される数なので、実際の数とは違いますが、シッターやデイケアは近くに見つからないこともあります。子犬を迎える前に、使えそうな預け先を探して、見学や問い合わせをしておくと、いざというときにあわてずにすみます。
短い時間だけ預けたいときは、こちらの特集も参考になります。
預け先は「登録」を確かめる
ペットシッターやペットホテル、犬を預かる美容の店などは、動物愛護管理法の「第一種動物取扱業」の「保管」にあたり、登録が必要です(環境省・埼玉県の案内)。また、第一種動物取扱業者には、標識の掲示や動物取扱責任者を置くことなどが求められています。はじめて頼むときは、登録の標識や登録番号が示されているかを確かめましょう。
子犬の様子で見直す
留守番を始めたら、子犬の様子を見ながら、時間や方法を見直していきます。
- 帰るといつもトイレを失敗している → 留守番の時間がトイレの間隔より長いかもしれない。時間を短くするか、途中で人の手を借りる
- ずっと鳴いている、物をこわす(カメラで確認) → 練習のステップを一つ戻して、短い時間からやり直す
- 落ち着いて寝ている → 少しずつ時間をのばしてよいサイン
留守番の前のチェックリスト
- トイレをすませたか
- 水は十分にあるか、こぼれていないか
- 室温は大丈夫か(夏・冬はとくに)
- 危ないものが届くところにないか
- サークル・クレートの扉や柵は閉まっているか
- 帰る予定の時間は、子犬のトイレやごはんの間隔をこえていないか
- 予定より遅くなったときに頼れる人や預け先を決めてあるか
なかなか慣れないときは、しつけ教室に相談するのも一つの方法です。食欲や元気など、体調で気になることがあれば、動物病院に相談してください。
よくある質問
Q子犬を迎えてすぐ仕事に行かないといけません。どうすればいいですか?
できれば迎える時期を休みに合わせ、最初の数日は一緒に過ごせるようにしましょう。むずかしい場合は、家族に昼に一度帰ってもらう、ペットシッターに来てもらうなど、ひとりの時間を短くする方法を考えてください。
Q何か月になれば長い留守番ができますか?
決まった月齢はありません。トイレの間隔が長くなり、ひとりでも落ち着いて過ごせるようになってから、少しずつのばしていきましょう。
Q留守番中はサークルに入れたほうがいいですか?
子犬のうちは、危ないものを口にしたり、けがをしたりしないよう、サークルやクレートで安全な場所を作っておくと安心です。中で落ち着いて過ごせるよう、ふだんから慣らしておきましょう。
Q朝、出勤前に子犬を預けられる場所はありますか?
犬ふぁんのペットホテルのデータ(1,141施設)では、9時より前に開く施設はわずかでした。開店前の預かりができるかは施設によるので相談してみるか、ペットシッターに家に来てもらう方法も考えてください。
Qテレビやラジオをつけておくといいですか?
環境省のガイドでも、生活音に慣らす方法としてラジオなどで音を流すことが紹介されています(小さな音から)。ただ、落ち着く子もいれば関係ない子もいるので、カメラで様子を見ながら試してください。
参考にした情報
- 環境省「子犬と子猫の適正譲渡ガイド」子犬編 第6章「社会化」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2103b/pdf/9.pdf
- 環境省「子犬と子猫の適正譲渡ガイド」(目次ページ) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2103b.html
- 埼玉県「生後56日齢以下の犬猫の販売等は禁止されています」 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0706/doubutu/inuneko-hanbai.html
- 埼玉県「第一種動物取扱業/対象となる業種・業態」 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0706/doubutu-touroku/toriatukaigyousyu.html
- 環境省 第一種動物取扱業についての案内ページ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/trader.html
- 犬ふぁん 施設データの集計(ペットホテルの営業時間・定休日、2026年10月10日時点)
(いずれも2026年10月に確認)