まず結論:吠える前に離れる。叱るより「距離」で解決する
散歩でほかの犬に吠える子の多くは、相手が「近すぎる」と感じています。こわい、びっくりした、遊びたくて高ぶった、と理由はちがっても、まずすることは同じです。
- 吠えない距離をたもつ。 うちの子が落ち着いていられる距離を知り、それより近づけない
- 飼い主が先に見つけて、向きを変える。 固まる・じっと見るは「吠える手前」のサイン。そこで離れれば吠えずにすむ
- 見ても吠えなかったら、すぐほめる。 「ほかの犬が見える=いいことがある」と覚えさせる
- 吠えたら叱らず、静かに離れる。 吠えたのは「近すぎた」という合図。次はもっと遠くで向きを変える
- ドッグランで慣らそうとしない。 刺激が強すぎ、攻撃的な犬の利用を規約で断るドッグランも多い
次にすることは、1週間の散歩メモで「平気な距離」を見つけ、今日の散歩から先に見つけて離れることです。散歩に出るのがつらいほど吠える、かもうとする、というときは、早めにしつけ教室やトレーナーに相談しましょう。
うちの子はなぜ吠える?理由で工夫が少し変わる
よくある4つの理由
| 吠える理由 | よく見られる様子 | 工夫の方向 |
|---|---|---|
| こわい・不安 | しっぽが下がる、体を低くする、後ずさりしながら吠える | 距離を大きくとり、安心できる経験を重ねる |
| 興奮・遊びたい | しっぽを振って前に出る、リードを強く引く | 落ち着いてから近づく。興奮したら一度離れる |
| 飼い主や自分を守ろうとする | 飼い主の前に出て吠える | 飼い主が前に立ち、犬に「守る役」をさせない |
| リードで動けないもどかしさ | リードをつけているときに吠えやすい | リードを張らない持ち方と、すれちがう道の工夫 |
どの理由に近いかは目安です。同じ犬でも、相手の大きさ、場所、時間帯で吠え方が変わります。性格や経験には個体差があるので、決めつけずに様子を見ましょう。
1週間の散歩メモで「平気な距離」を見つける
うちの子の「苦手」を知るいちばんの近道は、散歩のメモです。スマホのメモに、1週間ほど書いてみましょう。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 場所と時間帯 | 川沿いの遊歩道、朝7時 |
| 相手の犬 | 大きい犬、こちらに向かって歩いてきた |
| 吠え始めた距離 | 電柱2本ぶん |
| 吠える前にしていたこと | 固まって、耳が前を向いた |
| 吠えなかった場面 | 道の反対側の小型犬は平気だった |
見返すと「向かってくる大きい犬で吠える」「曲がり角でばったり会うと吠える」「電柱3本ぶん離れていれば平気」といったパターンが見えてきます。この平気な距離が、練習のスタート地点になります。
吠える前のサイン
- 歩くのをやめて固まる
- 相手をじっと見つめる
- 耳やしっぽの向きが変わる
- 体に力が入り、前のめりになる
- 背中の毛が逆立つ
このサインが出たら、もう近すぎることが多いです。吠える前に向きを変えるのが、いちばん大事な工夫です。
今日の散歩からできること
コースと時間帯を変える
- 見通しのよい道を選ぶ。 曲がり角が多い住宅街や、生け垣で先が見えない道は、ばったり会いやすい場所です。練習のうちは、道幅が広く遠くまで見える道に
- 犬が多い時間をずらす。 朝夕は散歩の時間が重なり、人気の公園や川沿いには何頭も集まります。少しずらすだけで、すれちがう回数が減ります。夏は暑い時間を避けることが先なので、夏の散歩の時間とのかねあいで決めましょう
- 逃げ道を覚えておく。 わき道、道の反対側へ渡れる場所、立ち止まって待てる広い場所、建物のかげなど
- 練習中は慣れた道で。 新しい道は刺激が多いので、慣れた道で成功を重ねてから広げます
相手が見えたら:3つの動き方
| 場面 | すること |
|---|---|
| 遠くに見えて、うちの子はまだ落ち着いている | 明るく声をかけて反対へUターン。または道の反対側へ渡る |
| せまい道で、すれちがうしかない | 飼い主が相手との間に入る。リードは短く、でもピンと張らない。こちらに注意を向けながら歩き、すれちがえたらほめる |
| 広いところで待てる | 道の端に寄り、うちの子を飼い主の後ろ側に。おやつを少しずつあげながら、相手が通り過ぎるのを待つ |
リードを強く張ると、飼い主の緊張が伝わって、犬がかえって身がまえることがあります。短く持って、少したるみを残すのがコツです。
吠えてしまったら
叱らずに、静かにその場を離れます。距離がとれて落ち着いたら散歩を続け、次からは今回より遠くで向きを変えます。大声で叱ると、飼い主まで興奮していると犬が感じて、吠えが強くなることがあります。
道具を見直す
吠えて急に動いたときに、首輪やハーネスが抜けると危険です。体に合った抜けにくいものを選び、出かける前に金具やゆるみを確かめます。環境省のパンフレットは、ふだんおとなしい犬でもリードを放すと逃げたり人にかみついたりすることがあるとして、犬の行動を制御できる人がリードを持つよう呼びかけています。力の強い犬なら、家族の誰が散歩をするかも考えておきましょう。
首輪とハーネスの選び方はハーネスと首輪、どっちがいい?に、引っ張りの練習は散歩で引っ張る犬の練習方法にまとめています。
吠えにくくする練習
「ほかの犬が見えたら、いいことがある」練習
いちばん大事な練習です。
- うちの子が吠えないくらい遠くに、ほかの犬がいる場面をつくる
- うちの子が相手の犬を見たら、すぐにほめておやつ
- 相手の犬がいなくなったら、おやつもおしまい
- 遠い距離で何度も落ち着いていられたら、少しだけ距離を縮める
ほかの犬が見えている間だけ、いいことが起きる。この結びつきをくり返し作ります。吠えてしまったら、次は距離を広げてやり直します。
名前で振り向く練習・「こっち」でUターンする練習
- 名前:家の中で名前を呼び、振り向いたらおやつ。できたら玄関先、静かな道、と少しずつ刺激のある場所に広げる
- Uターン:「こっち」などの合図で向きを変え、ついてきたらほめる。ほかの犬がいないときに散歩の中で何度も練習しておく
外でも名前で振り向けて、合図でUターンできるようになると、相手の犬が来たときに注意をそらしやすくなります。
練習のコツ
- 1回は短く、成功で終わる
- おやつは小さく、ふだんよりうれしいものを
- 家族で合図の言葉とやり方をそろえる
- 調子の悪い日は練習を休み、距離をとるだけの散歩に
- 落ち着いた犬を飼っている友人に、遠くを歩いてもらうのも練習になる
どのくらいで変わるかは、犬の性格、吠える理由、練習の回数で大きくちがいます。数週間続けても変わらないときは、ひとりで抱えずに相談しましょう。
やらないほうがいいこと
- 大声で叱る:吠えが強くなることがある
- リードを強く引く・たたく:「ほかの犬が来る=いやなことが起きる」と覚えてしまうことがある
- 「慣れさせよう」と無理に近づける・あいさつさせる:こわい気持ちが強くなることがある
- いきなりドッグランに連れて行く:犬の多い場所は、吠える子には刺激が強すぎる
ドッグランは「慣らす場所」ではない
犬ふぁんが規約を確かめた公営ドッグランのうち、入れない犬の条件を書いていた23か所では、19か所が「攻撃的な犬・かみ癖のある犬」を、12か所が「しつけができていない・飼い主が制御できない犬」を入れない犬に挙げていました。ドッグランは、ほかの犬と落ち着いて過ごせる犬が使う場所です。練習が進んでから考えましょう。
まわりへの配慮と、黄色いリボン
相手の飼い主さんに声をかける
- 相手が近づいてきたら「犬が苦手なので、すみません」と声をかけて離れる
- 「あいさつさせてください」と言われても、無理にあいさつさせない
- 吠えてしまったら、ひとこと謝ってその場を離れる
環境省のパンフレットは、犬が頻繁に吠えると周囲の人の迷惑になるとして、吠える理由を見きわめて原因から対処し、しつけの本を読んだり訓練士などに相談したりするようすすめています。
黄色いリボンで「近づかないで」を伝える
リードや首輪に黄色いリボンや小物をつけて、「飼い主以外の人やほかの犬に近づいてほしくない」ことを伝える「イエロードッグプロジェクト」という取り組みがあります。横浜市金沢区のページでは、黄色いリボンの犬を見かけたら、むやみに近づかず静かに見守るよう呼びかけています。
ただ、意味を知らない人もまだ多いので、リボンをつけていても、相手が近づいてきたら声をかけて距離をとりましょう。
ひとりで難しいときは、しつけ教室に相談する
次のようなときは、トレーナーに見てもらうと早く進むことがあります。
- 相手が遠くにいても激しく吠え、散歩に出るのが大変
- 飛びかかろうとする、かもうとする
- 力が強くて、吠えたときに押さえきれない
- 数週間練習しても変わらない
吠える悩みは、ふだんの散歩道で起きます。家の近くまで来てくれる出張レッスンや、1組ずつ見てくれる個別レッスンが合うことが多いです。グループの教室は、ほかの犬が近くにいるので、吠える子には最初は刺激が強いことがあります。
| 教室に聞くこと | 理由 |
|---|---|
| ほかの犬に吠える子のレッスンをしているか | 得意な分野は教室によってちがう |
| 出張や個別のレッスンがあるか | ふだんの散歩道で練習できる |
| どんな教え方か | ほめて教えるか。どなる・たたく教え方ではないか |
| 家で続ける練習を教えてくれるか | レッスンのない日の練習で進み方が変わる |
| 動物取扱業(訓練)の登録 | 教室の標識やホームページに登録番号があるか |
動物取扱業の登録の情報があるしつけ教室
大阪府の117か所
- 大阪動植物海洋専門学校大阪府大阪市大正区
- 大阪ペピイ動物看護専門学校大阪府大阪市東成区
- アリア~スクール&サロン~大阪府大阪市平野区
- シマティー ドッグ オフィス大阪府大阪市東住吉区
- ペットショップ・サン大阪府大阪市西成区
- 帝塚山ショードッグ&しつけスクール大阪府大阪市阿倍野区
いる場所の近くでも探せます。
一覧から探す →よくある質問
Q子犬のときは平気だったのに、急に吠えるようになりました。
成長とともに、こわさや警戒心が出てくる犬もいます。まずは距離をとる工夫から始めましょう。急な変化で体の様子も気になるときは、動物病院に相談してください。
Q吠える犬はドッグランで慣らしたほうがいいですか?
おすすめしません。犬の多い場所は刺激が強すぎることがあり、攻撃的な犬の利用を規約で断っているドッグランも多くあります。遠くから見る練習で落ち着けるようになってから考えましょう。
Qどのくらいで吠えなくなりますか?
犬の性格、吠える理由、練習の回数で大きく変わります。数週間練習しても変わらないときは、しつけ教室やトレーナーに相談してみてください。
Q小型犬だから吠えても大丈夫ですよね?
体が小さくても、相手の犬や飼い主さんはびっくりします。相手の犬が反応して、けんかになることもあります。大きさにかかわらず距離をとりましょう。
Qおやつがないと言うことを聞かなくなりませんか?
練習が進んだら、おやつの回数を少しずつ減らし、声やなでるなどのほめ方に置きかえていきます。最初は、うまくできた経験を増やすことを優先しましょう。
Qすれちがう相手の飼い主さんに何と言えばいいですか?
「犬が苦手なので、すみません」と短く伝えて離れれば十分です。吠えてしまったら、ひとこと謝ってその場を離れましょう。
参考にした情報
- 環境省 パンフレット「正しい飼い方のこと」(吠え声、犬の行動を制御できる人がリードを持つ)
- 横浜市金沢区「犬猫に関する情報」(イエロードッグプロジェクト)
- 犬ふぁん 施設データの集計(公営ドッグランの規約のうち、入れない犬の条件を書いていた23か所。2026年10月10日時点)
(いずれも2026年10月に確認)
この記事に関係する施設を探す
いる場所の近くで探す