まず結論:場面で理由を見分け、吠える前に手を打つ
家の中の吠えは、場面ごとに理由がちがい、効く対策もちがいます。叱って止めるより、吠えるきっかけを減らし、静かにできた瞬間をほめるほうが近道です。
- インターホン・来客で吠える:警戒や興奮です。「音が鳴ったら決まった場所へ行くといいことがある」に変える練習をします
- 外の足音・車・窓の外の人に吠える:警戒です。見えない・聞こえにくい部屋づくりが先。環境省のガイドラインも、居場所を移す、外から見えなくする例を挙げています
- 留守番中に吠える:さみしさ・不安のことが多いです。出かけるときと帰ったときをあっさりにして、短い留守番から練習します
- 「出して」「ごはん」と吠える:要求です。吠えている間は応えず、静かになってから応えます
- 年をとってからの夜鳴き、急に増えた吠え:体の変化がかくれていることがあります。しつけより先に動物病院に相談します
次にすることは、スマホやペットカメラで1週間ほど録画・メモをして、「いつ・何に」吠えているかを見つけることです。近所から苦情があったときは、録画で確かめてから、すぐできる配慮を始めましょう。
散歩中にほかの犬に吠える悩みは、散歩でほかの犬に吠えるときの対策にまとめています。この記事は、家の中の吠えを扱います。
うちの子はなぜ吠える?場面で見分ける
武蔵野市は、犬が鳴き続ける原因として「さびしい」「危険が迫っている」「知らない人やほかの動物への警戒」「高齢による認知症」などを挙げ、飼い主が適切なしつけをすることで改善できることがある、としています。家の中でよくある場面に当てはめると、次のようになります。
| 吠える場面 | 考えられる理由 | 最初にすること |
|---|---|---|
| インターホンが鳴る・来客 | 警戒、興奮 | 音に慣らし、行く場所を決める |
| 窓の外の人・車・足音 | 警戒 | 見えない・聞こえにくい部屋にする |
| 出かけた直後から留守中 | さみしさ、不安 | 出入りをあっさりに。短い留守番から練習 |
| ごはん前・ケージの中・遊んでほしいとき | 要求 | 吠えている間は応えない |
| 雷・花火・工事の音 | こわさ | 人のそばの安心できる場所に |
| 年をとってからの夜鳴き、急に増えた吠え | 体の変化 | 動物病院に相談 |
1頭に、いくつかの理由が重なっていることもよくあります。表は目安で、性格や経験には個体差があります。
1週間、録画とメモをとる
「いつ」「何のあとに」「どのくらい」吠えたかを、1週間ほど書きとめます。留守番中は、スマホやペットカメラで録画すると、自分のいない時間の様子がわかります。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 時刻 | 平日の朝8時15分 |
| 直前に起きたこと | 宅配便のインターホン、外を小学生が通った |
| 吠えた長さ | 約2分 |
| どこで | リビングの窓ぎわ |
| どうやってやんだか | 音がやんだら自然にやんだ、ほめたらやんだ |
見返すと、「出かけて5分以内に吠えて、20分ほどでやむ」「窓ぎわにいるときだけ吠える」といった形が見えてきます。
- 出かけてすぐ吠えて、しばらくするとやむ → さみしさ・不安の可能性
- 外の音や人のたびに吠える → 警戒の可能性
- 決まった時間や、ほしいものがあるときに吠える → 要求の可能性
インターホン・来客で吠えるとき
いちばん相談の多い場面です。音が鳴ると玄関へ走って吠える、という流れができあがっていることが多いので、その流れを別のものに置きかえます。
1. 行く場所を決めて、ふだんから練習する
来客のときに行く場所(ハウス、ベッド、ケージ)を1つ決めます。ふだんから、そこに行ったらおやつ、をくり返しておきます。玄関から離れた、落ち着ける場所がおすすめです。
2. インターホンの音を「いいことの合図」に変える
- 家族に外からインターホンを押してもらう(録音した音を小さく流してもよい)
- 鳴ったら、吠える前におやつをあげる
- 慣れてきたら、鳴ったら「ハウス」に行き、そこでおやつ
- できるようになったら、本物の来客のときにも同じ流れで
1日に数回だけ、短く練習します。吠えてしまう音量なら、もっと小さい音から始めます。
3. 来客に協力してもらう
親しい人に練習相手になってもらいます。
- 玄関では犬を見ない、声をかけない、さわらない
- 犬が落ち着いてにおいをかぎに来たら、おやつを床に置いてもらう
- 犬が興奮しているうちは、相手にしない
知らない人がこわい子は、無理に近づけないことが大切です。来客が帰るまでハウスや別の部屋で休ませるのも、立派な対策です。
4. 静かにできた瞬間をほめる
塩尻市は、来訪者に吠えるたびに「まて」などで止めさせ、吠えるのをやめたらごほうびをあげてよくほめる、という方法を紹介しています。ポイントは、やめた瞬間・静かにしている瞬間をほめることです。吠えている最中におやつを見せると、「吠えるとおやつが出てくる」と覚えることがあります。
宅配便は、置き配や受け取りの時間指定を使うと、練習中に鳴る回数そのものを減らせます。
外の物音・窓の外に吠えるとき
足音、車、ほかの犬の声、窓の外を通る人。警戒の吠えは、まず「見えない・聞こえにくい」ことから始めます。環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」も、外からの刺激で吠える場合は原因を調べてそれに合った対策を、として、外を人が通るのが気になるなら居場所を移す、外から見えないようにする、特定のものに吠えるならそれを遠ざける、といった例を挙げています。
- 道路に面した窓には、レースのカーテンや目かくしのシートをつける
- 窓ぎわにソファや台を置かない(見張り台になる)
- 犬のいる場所を、道路や玄関から遠い部屋にする
- 外の音がまぎれるよう、テレビやラジオを小さくつけておく
- 外の音がしても吠えずにいられたら、そのときにほめる
雷・花火・工事の音
こわさから吠える子は、叱ると余計にこわがります。塩尻市は、雷や花火などの大きな音におびえて吠える場合、家の中で人のそばに置くと落ち着く、としています。おびえて暴れた拍子に首輪が抜けて逃げることもあるので、花火大会の日などは、窓や玄関の戸じまりも確かめておきましょう。
留守番中に吠えるとき
出かける前と帰ったときは「さらっと」
出かける前に「行ってくるね」と大げさに声をかけたり、帰ってすぐに大喜びで構ったりすると、いる・いないの差が大きくなり、ひとりの時間がさみしく感じやすくなります。出かける前の10分ほどと帰ってからの数分は、あっさりすごします。犬が落ち着いてから、たっぷり構えば大丈夫です。
短い留守番から練習する
- 家の中で、別の部屋に数秒行って戻る
- 玄関を出て、すぐ戻る
- 5分、10分、30分と少しずつのばす
吠える前に戻るのがコツです。吠えている最中に戻ると、「吠えたら帰ってくる」と覚えることがあります。録画で、何分なら静かにいられるかを確かめながら進めます。
出かける前に、体と頭を使わせる
散歩や遊びで体を動かしてから出かけると、留守中に休んでいる時間が長くなりやすくなります。塩尻市も、運動不足でストレスがたまっている場合は1日に1回は散歩を、さみしくて鳴いている場合は人の声が出るラジオを置くのも有効、としています。
中におやつを詰められるおもちゃなど、ひとりで時間をかけて楽しめるものも助けになります。飲みこめる大きさのものや、こわれやすいものは避けましょう。
毎日の留守番が長いとき
長い留守番が毎日続くと、さみしさから吠える子もいます。練習だけで解決しようとせず、仕事の日だけ犬の幼稚園(日中の預かり)やペットシッターを使う、家族で帰る時間をずらす、なども考えてみましょう。子犬の場合の留守番の長さの決め方は、子犬の留守番は何時間まで?にまとめています。
「出して」「ごはん」の要求吠え
ケージから出してほしい、ごはんがほしい、遊んでほしい。要求の吠えは、吠えたら願いがかなうことで続きます。
- 吠えている間は、目を合わせない・声をかけない・応えない
- 数秒でも静かになったら、そこで応える(ケージを開ける、ごはんを置く)
- ごはんの準備は、犬が落ち着いて待てているときに進める
- 家族のだれかが応えてしまうと続くので、家族でやり方をそろえる
応えないでいると、はじめは吠えが強くなることがあります。そこで根負けして応えると、「もっと吠えればかなう」と覚えてしまいます。続けるのがむずかしいときは、吠える前に先回りして散歩や遊びの時間をつくるほうが楽なこともあります。
やらないほうがいいこと
- 大声で叱る:犬が「いっしょに吠えてくれた」と受け取ったり、こわくてかえって吠えたりすることがある
- たたく・おどかす・水をかける:関係がこわれ、こわさから吠えたりかんだりするきっかけになることがある
- 吠えたら要求に応える:吠えれば通る、と覚える
- 日によって対応を変える:昨日は応えたのに今日は無視、だと犬が混乱する
- 理由を見ずに道具だけにたよる:吠えをおさえる首輪などは、理由が残ったままになることがある。使う前にトレーナーや動物病院に相談を
近所から苦情を言われたら
鳴き声は近所とのトラブルになりやすい
武蔵野市は、いまの法令には飼っている動物の鳴き声を規制するものはなく、困っている人は飼い主に対応を求めることになる、としています。そのうえで、東京都の条例は飼い主に犬への適切なしつけを求めています。北九州市の条例も、飼い主に、動物の異常な鳴き声などで他人に迷惑をかけないようにすることを義務づけています。苦情は、自分で向き合うしかない問題です。
環境省のガイドラインは、鳴き声やにおい、ふんの放置が多くの地域で近所とのトラブルのもとになっていること、集合住宅では鳴き声や室内で走り回る音にも気をつけること、高齢の犬の遠吠えや夜鳴きが問題になることも増えていることを書いています。
その日からできること
- 録画で確かめる:何時ごろ、何に、どのくらい吠えているか。留守中にずっと吠えていた、ということもある
- すぐできる配慮をする:吠えやすい時間(早朝・夜)は窓を閉める、居場所を道路や隣の家から遠い部屋に移す、防音のマットやカーテンを使う
- 相手に伝える:「録画で確かめて、居場所を変えました。練習もしています」と、していることを具体的に伝える
- 練習を始め、だめなら専門家に:数週間で変わらなければ、しつけ教室やトレーナーに相談する
自治体の窓口に相談できる
犬の鳴き声は、自治体の動物愛護の窓口が相談を受けていることがあります。武蔵野市は東京都動物愛護相談センターを紹介し、状況によっては現状の確認や飼い方の指導ができるとしています。北九州市の動物愛護センターも、飼い主がわかる場合は家を訪ねて、飼い方の指導をするとしています。苦情を受けた側も、まずは住んでいる自治体の窓口に、どんな相談ができるかを聞いてみましょう。
ひとりで難しいときは、家に来てもらえるトレーナーに
次のようなときは、トレーナーに見てもらうと早く進むことがあります。
- 数週間練習しても変わらない
- 苦情が来ていて、早く手を打ちたい
- 来客にかもうとする、吠えながら飛びかかる
- 家族で対応がそろわない
家の中の吠えは、インターホンや窓など、その家で起きます。家に来てもらえる出張レッスンだと、実際に吠える場面を見てもらえます。
| 申し込む前に聞くこと | 理由 |
|---|---|
| 家の中の吠え(インターホン・留守番)のレッスンをしているか | 得意な分野は教室によってちがう |
| 出張で家に来てもらえるか | 実際に吠える場面で練習できる |
| どんな教え方か | ほめて教えるか。たたく・おどかす方法を使わないか |
| 家族みんなが続けられる方法を教えてくれるか | レッスンのない日の練習で進み方が変わる |
| 料金と回数、1回の時間 | 目標までの合計で比べる |
| 動物取扱業(訓練)の登録 | 標識やホームページに登録番号があるか |
環境省によると、お客の犬を預かって訓練する事業者は、動物愛護管理法の「第一種動物取扱業(訓練)」にあたり、出張訓練をする事業者も例に挙げられています。登録した事業者には標識の掲示が決められています。
動物取扱業の登録の情報があるしつけ教室
大阪府の117か所
- 大阪動植物海洋専門学校大阪府大阪市大正区
- 大阪ペピイ動物看護専門学校大阪府大阪市東成区
- アリア~スクール&サロン~大阪府大阪市平野区
- シマティー ドッグ オフィス大阪府大阪市東住吉区
- ペットショップ・サン大阪府大阪市西成区
- 帝塚山ショードッグ&しつけスクール大阪府大阪市阿倍野区
いる場所の近くでも探せます。
一覧から探す →教室の選び方はしつけ教室の選び方にくわしくまとめています。
よくある質問
Q無駄吠えは何歳からでも直せますか?
年齢に関係なく、理由に合った練習で吠える回数が減る犬は多いです。ただ、長く続いている習慣ほど時間がかかります。年をとってから急に吠えるようになったときは、まず動物病院に相談しましょう。
Qインターホンに吠えたとき、その場でどう止めればいいですか?
大声で叱るより、決めた場所へ呼んでおやつをあげ、静かになった瞬間にほめます。その場で止めるより、ふだんの練習で「音が鳴ったら場所へ行く」流れを作るほうが効きます。
Q留守番中に吠えているか、どうやって確かめますか?
スマホやペットカメラで録画するのがいちばん確実です。出かけてから何分後に、何に反応しているかがわかると、対策を選びやすくなります。
Q吠えるのを止める首輪を使ってもいいですか?
理由が残ったまま、吠えだけをおさえることになる場合があります。使う前に、トレーナーや動物病院に相談してください。
Qマンションで吠えて困っています。まず何をすればいいですか?
録画で吠える時間と理由を確かめ、窓を閉める、居場所を共用廊下や隣の部屋から遠い場所に移す、防音マットを敷く、などすぐできることから始めます。管理規約にペットの決まりがあれば、それも確かめましょう。
Q近所から苦情を言われたら、まず何をすればいいですか?
録画で確かめ、すぐできる配慮を始めて、していることを相手に具体的に伝えます。自治体の動物愛護の窓口でも相談を受けていることがあります。
参考にした情報
- 環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」
- 環境省「第一種動物取扱業者の規制」
- 武蔵野市「犬の鳴き声について」
- 塩尻市「動物の愛護と正しい飼い方・しつけ方」
- 北九州市「近隣の飼い犬の吠え声について(寄せられた市民のこえ)」
(いずれも2026年10月に確認)
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